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第25話 焼け焦げる神経

 浦田の上で腰を振る阿妻は、片方の口角を上げ、にたりと微笑む。  捏ねるように回される阿妻の腰に、浦田の身体がびくびくと震えた。 「…んん……ぁ、ふ、…………ンッ、ぁあ…」  半勃ちの俺のペニスを咥えながら、形だけの抵抗を示す浦田。 「マジで上手いね? 煽んの」  くすくすと笑う阿妻の心が激しく掻き立てられるのは、嗜虐を好む思考の(さが)だろう。  汗ばむ肌で、色気をむんむんに撒き散らしながら、浦田を翻弄する阿妻。  腹底から沸き上がる興奮に、支配者の顔で舌を舐めずる阿妻に、俺は煽られる。  阿妻が浮かべる得意気な笑みは、俺にとってのドラッグだ。  中毒性のあるその顔に、雰囲気に、色気に、俺の神経は焼け焦げる。  堪らずに、正面から阿妻の後頭部へと手を伸ばし、髪を鷲掴む。  無理矢理に引き寄せたその唇を貪り喰らった。 「ん……、…ははッ」  俺に口腔内を好き勝手に犯されながら、浦田を穿つ腰の動きは止めぬままに、阿妻は笑い声を立てた。  俺から解放された阿妻の唇に、笑みが乗る。 「熊原、本当オレの体液、好きだよねぇ」  “変な趣味”だと、阿妻は笑う。  変だというわりに、俺が仕掛けるキスを阿妻は拒まない。  俺は、阿妻を抱きたい訳じゃない。  でも、抱かれる気もない。  甘え媚びる阿妻を、見たい訳じゃない。  男の色香が漂う支配者の顔が、好きなだけだ。  この手で啼かせたいと思っている訳でもない。  他人を啼かせる阿妻の姿に、興奮するのだ。  何度となく前後を交換し、浦田の腹を俺たちの精液で満たした。  床に転がる浦田の孔は、くぱくぱと蠢き、混ざりあった精液を垂れ流していた。 「あとは近堂が来て、片付けてくれると思うんだけど…?」  阿妻は、やっと大人しくなった自分のペニスを適当に下着の中へと戻し、教室の扉へと瞳を向けた。  最初に再生されていた動画は、近堂と浦田だったのだと察する。  浦田との不定行為が収められた動画を持っている阿妻は、近堂に対し、優位な立場にいるのだと思っていた。  教室へ来た近堂が、哀しげに浦田を見やり謝罪を紡いだ。  でも、その言葉には微塵の重みも感じなかった。  近堂と浦田のやり取りを何度となく見た俺は、阿妻は謀られたのだと察した。  俺たちは、いいように使われたのだ。

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