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第2話

 昔の夢だ。もはや悪夢とすら呼べぬほど繰り返し見て慣れた夢。肉を削ぎ、捨てる。目を見ながら、少しずつ。出血は多量だがその分輸血をし、苦しみはできるだけ長引かせる。中国に古代から伝わる拷問方法である凌遅刑の現代版だ。自分の父親に対して行う処刑方法としては残虐極まりないが、父は妹とその恋人である俺の親友を薬漬けにして殺したのだから、当時の憎しみに駆られた俺にはこれを行うほか無かった。俺は父親の力と地位と金を全て奪い、全て捨てて日本に来た。日本の警察上層部と取引し、大陸と日本に来ているの中華マフィアの情報をあらかた渡す代わりに前歴を洗浄し、今俺はここにいる。  日本に来たら真っ当に生きて、母親を探し出すことを目的にしていたが、ヤクザに拾われるのは計算外だった。指定暴力団 御堂組。主なシノギは不動産関係だという情報しか知らないが、薬や銃器の取引をしていたら面倒なことになる。警察にチクっても良いのだが、一宿一飯の恩義を仇で返すのは俺の主義に反するので昨晩はあんなことをしてしまった。前原は紳士的だったし、まあ悪くない。問題は今日以降、俺がどうするかだ。  とりあえず前原に日本語を教わり、表の職業について生活の基盤を整え、唯一の家族となった母親を探したい。当面のプランはこれで行こう……。  そう思いながらそろそろ起きようと身じろぎすると、前原も起きたらしく、腕に込める力を強くし、足を絡めてくる。昨晩は二人とも全裸で寝たので、足を絡ませるとお互いの性器が擦れ合う。それらは朝の生理現象で勃起しており、思わず「ぁ……」と声が漏れてしまう。 「おはよう……眠れたか?」  掠れた声で前原が訪ねてくる。不覚にもその声の響きは俺の腰にズンと響いた。 「オハヨウ、ゴザイマス、ネムリマシタ」 「そうか、よかった……」  そう言いながらまるで恋人同士がするような甘いキスをする。ちゅ……ちゅ……と啄みじゃれ合うような。そうしていくうちに足は強く絡み合い、お互いの性器を意図的に擦り合わせる。 「ん……ぁ、」  そのままキスは深くなり、口の中を全て舐め回され、俺と前原の性器は完全に臨戦体制になる。 「マエハラ、サン、ダメ……シゴト、アル?」 「今日は午後から……にする」 「モウ……」  前原はお互いの性器を合わせて擦り始める。それだけでイきそうになるが、イかせてはくれず、俺の後孔をたっぷりと濡らすと中を慣らし始めた。 「あ、……ソコハ……」 「ここ使わないと満足できないようにしてやるからな……」 「……や、っ」  ぐちょぐちょと中をかき回され、俺の感じる箇所を執拗に責めながら孔を広げていく。 「ん、ん……マエ、ハラ、サン……っ」  前の性器も同時に攻められ、俺は腰をカクカクと動かしてしまう。 「も……っ、でちゃい、マス……!」 「いいぞほら、もっと腰動かしてイってみ?」 「あ、あ、あ、……も、でる……っ」  腰脳動きが激しくなりビュクビュクと射精する。快楽の余韻に蕩然としていると前原は俺を四つん這いにし、後孔に性器を充てがった。 「……う、あ……」  ゆっくりと進んで最後まで沈めてしまうと、小刻みに動き出す。俺の性器には筒状にした手を添えて「自分で動きな」と言ってくる。イったばかりで敏感なそこだがまだ快楽を欲しているらしく、前原の言う通り腰をカクカクと動かし、前原の手に擦り付けるのがやめられない。後ろからの快楽もあり頭がおかしくなりそうだ。 「あっあ……!マタ、でちゃうぅ……!」 「堪え性のねえやつだな……ほらイけ」  そう言って手をに加える力を強くされ、 「あっあっ、あーっ」  と俺は呆気なく達してしまった。快楽の余韻に浸るまもなく、性器を激しく擦り上げられる。 「やぁっ、ダメ、それ、ダメ……っ」 「ダメってことはないだろ、ほら後ろも締まってるぞ?」 「あっ、あっ、ちが、でちゃ……」 「俺もそろそろイきそうだ……!」  そう言ってさらに強く後ろを蹂躙される。俺は散々イったのをさらに擦られ、射精感ではなく尿意を催していた。 「チガッ、おしっこ、でちゃ……」 「おお?潮吹きそうなのか?じゃあ後からだともったいねえな……」  そう言うと挿入したままぐるりと回転させられ、正常位の体勢になった。 「ほら、潮吹くとこ見せてみな……」 「やっ、ダメ、ダメ……っ」  後孔への激しい攻めと性器への刺激で俺はついにおしっこを漏らしてしまう。 「やっやっ……ダメ、ああも……でちゃ……!」  プシュウウウウと勢いよくおしっこを漏らすと前原は満足したように射精した。 「あ、ああ……」  前原の精液で後孔の奥の方が湿っていくのを感じる。 「う、うう……」  恥ずかしさのあまり涙が出てきてしまう。すると前原は「おい泣くなよ、虐めすぎたか?大丈夫だから一緒に風呂入ろう?な?」と言って俺と一緒に風呂へ入った。  俺たちは体を洗い、湯船に浸かる。湯船の大きさは前原と一緒に入っても余裕なくらい大きい。 「マエハラ、サン」 「なんだ?」  俺を後ろから抱きしめるようにして湯船に浸かる前原が答える。 「ボク、ニホンゴ、オシエテガホシイ」 「なんでだ?」 「オカアサン、サガスシタイ」 「俺が探してもいいんだぞ?」 「オカアサン、中国語スコシデキナイカラ」 「……なるほどね」 「ボク、ココニイテ、イイ?ナンデモスル」  後ろを振り返り、前原の顔を見上げながらいう。我ながらあざと過ぎるが手段は選べないので仕方ない。 「はぁ〜そう言われちゃなあ……断れないわ。まあ元から離す気ねえけど」  案の定、前原は落ちた。俺はこれから前原の家に居候し、前原から日本語を教わる代わりに俺が前原に中国語を教えることとなった。三食つきセックスも込みだ。  こうして俺と前原の同棲生活は始まったのだった。

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