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第3話 ともだちの部類って
川北くんが下に降りて行ってもお兄さんはまだ部屋に残っていて、じっと僕の方を見るから恥ずかしくなる。
パンツにバスタオル一枚巻いた格好で、トレーナーは着ているけれど足はスカスカ。
「すみません、変な格好で。泥がついたパンツを乾かして貰ってて.....」
言い訳みたいに云うと、お兄さんはクスクスと笑った。
「初めて来た?あつしと仲いいんだ?......アイツ、生意気だろ。」
そんな事を云われて「いいえ、生意気なんかじゃ.....。優しいですよ。」と言い返す。
「大原くんて言葉使いがいいね。それに女の子みたいな顔してる。可愛いって云われるでしょ。」
「え?」
お兄さんの言葉に驚いた。確かに女子からはそんな事を云われている。自分では分からないが、お母さんは自分に似て可愛いと僕の頬を両手で挟むとキスをしてくる事もあった。
可愛いという言葉が誉め言葉になるのかどうか......
「男子に可愛いっていうのは.....ちょっと。」
一応6年生だし、なんとなく幼稚園の子供に掛ける言葉の様でイヤだった。
「あぁ、ごめん。カッコイイの方が良かったか。でも、......オレから見たらやっぱカワイイってなるんだよね。......でも、そんな顔して下の毛もボーボーだったらカッコイイって訂正するけどさ。」
「.............」
ドキリとして言葉が出て来ない。下の毛って、.......恥ずかしいけどまだ生えて来ていないんだ。
「あっれー?ひょっとしてボーボー?......どれ、見せてみな。」
不意を突かれて固まったままの僕に、お兄さんは近寄るとバスタオルと一緒に穿いていたパンツまでズリさげた。
「あ!!」
手で押さえるが遅かった。
「かわいーチンチン。メッチャ綺麗な色してんね。」
恥ずかしくてその場にしゃがみ込む。
誰にも見られた事ないのに.........。
「ごめーん、泣かないでよ?」
「泣きません、別に......。」
「.......コレ、あげるから。」
何かを頭の上に差しだされた気がして視線をやると、500円硬貨が一枚。
「......?」
「見せてくれたお礼。.....まあ、オレが勝手に見ちゃったんだけどさ。口止め料だよ、お菓子ぐらいなら買えるだろ?」
そう云いながら僕の手に500円硬貨を握らせると部屋から出て行った。
僕は立ち上がると下着を穿き直してバスタオルを巻き付ける。それから手のひらの500円をランドセルのポケットにしまった。
* * *
川北くんとは、卒業してからも中学でクラスが一緒になって遊ぶ機会が増えた。
それと同時に、僕はカレのお兄さんとも遊ぶ様になる。
遊びといっても、お兄さんに好きなように触られているだけなんだけど。
でも、帰り際に500円とか1000円をくれるから、僕にとっては損はなかった。
変な感触ではあるが、チンチンを触られると気持ち良かったし、僕のを触りながら徐々に興奮した顔になるお兄さんを見るのが面白かった。変な顔.........。
お母さんがいうところの友達、って部類にこの人は入るんだろうか.........。
でも、まだ裸で布団に入る事はしていないし.......。
変化があったのは、川北くんの家族が田舎のおじいさんの家に行くと云った夏休みのある日。
お土産を買って来ると云った川北くんの言葉を楽しみにしていると、何故か夕方になって家の電話が鳴った。お母さんへの電話であるわけないし、家の電話番号を知っているのは川北くんと数人の同級生。それから川北くんのお兄さんだけだった。
「はい、大原です」
「あ、ジュン?オレ、.......今から家に来いよ。」
「え?」
声の主は川北くんのお兄さん。
確か一緒に家族で田舎へ行ったはずでは......
「オレだけ残ったんだよ。家族はいないから、オレら二人だけだよ。そっちは親、仕事でいないんだろ?家を抜けたって気づかれないじゃん。」
「......でも、」
「小遣いに1万円もらったんだ。半分やるから。」
「..............」
頭の中で計算をしてしまった。
一回触られて500円とか1000円。5000円分って、どの位触られるんだろう。
「いいけど、.......痛いのとか無理なんで。」
「分かってるって、そんなにビビんなよ。」
結局、家の戸締りをすると僕は川北くんの家に向かった。
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