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第7話 成長

 夏休みのあの日以来、川北くんのお兄さんからの誘いはなかった。 二人の秘密が友達にバレるのが怖かったのかな.......。  僕は学校では平凡に毎日をやり過ごし、家に帰れば料理を少しづつ出来る様に勉強した。 お母さんの料理は期待しても出てくる事はないと、小学生の時に諦めていたが、調理実習で覚えるまでは何も作れなかったし、お金も置いていってくれないからカップ麵ばかりを食べていたんだ。でも、中学3年生になる頃には簡単な料理を作れるようになって、そのおかげかお母さんもおかず代としてお金を置いてくれるようになった。  ただ、小遣いは相変わらずなくて、欲しいものが出来ると隣町に行って川北くんのお兄さんにしていた様な事をしてはお金をもらっていた。  身長も163センチと、男にしては小柄みたいで、お兄さんの友達が云っていた様に、ホモの男性から声を掛けられる様になった。 見かけでは全く分からないが、僕を路地裏の細い道に連れ込むといきなりパンツの中に手を突っ込んでくるからビックリする。  キチンとしたスーツのおじさんや30代くらいのおじさんもいた。 みんな僕を見るとカワイイカワイイと猫なで声になって、正直気持ち悪い。 確かに、今は自分の顔立ちが可愛いんだという事を自覚していた。 芸能人になれると云って、クラスの女子はどこかの事務所に写真を送れというが、僕は全く興味が無い。むしろ、見世物にされるのはあの夏の日だけで充分だった。  来年は高校生。 僕の行く学校もほとんど決まっている。少し距離はあるが、男子校はそこしかなくて。  あの日以来川北くんのお兄さんの事が頭を過ぎる。 ヒミツにしていたのは、ひょっとして自分がホモかもしれないと思ったからかなぁ。 友達にいうのが恥ずかしかったとか。ホモは気持ち悪いみたいに、あの友達の人は云っていた。  そんな事、どうだっていいのに.....。  僕は恋愛とか興味ないし、お金がかかる事はしたくない。女の子とデートしたら男が払わなきゃいけないなんて、誰が決めたんだ、って思うよ。 好きな人が現れるなんて、夢でしかない。夢じゃお腹は膨れない。 * * *   4月になると、僕は電車を乗り継ぎ港南工業高校に向かった。  高校生になって変わった事といえば、お母さんが結婚した事。って云っても籍を入れたのかどうかは分からない。僕の苗字が変わらない所を見ると、籍はまだ入れていないのだろう。 安西友徳さんというおじさんは、普通のサラリーマン。特に際立った所も無くて、でも一軒家に住んでいるから、その内そこへ引っ越すと云っていた。 高校からも近くなるし、それだけでも僕にしたら嬉しいことだ。  相変わらず知らないおじさんから声を掛けられて、僕のチンチンを触らせてやるとお金をくれるから、バイトをする気にもなれず毎日を過ごしていたが、あの悪夢の夜は再来した。

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