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第9話 初めての・・・

 静かな部屋で、皿にフォークが当たるカチャリという金属音だけが耳に入る。 ケーキはイチゴのショートケーキで、レモンティーの香りも清々しいものだったが、気が急いてしまう僕は味わう余裕もない程に口に詰め込んだ。 「ははは、変わんないなージュンは。もっとゆっくり味わって食べなよ。」  お兄さんが笑いながら僕に云う。多分、僕の焦りは伝わっていないのだと思ったが、それでも早く食べ終わってお暇しないと。また、あの夏の日の事が頭を過ぎってしまう。 「.....ご馳走様でした。美味しかったです。ケーキなんて食べたの去年ぶりの様な気がする。」  そう云うと、皿とティーカップをトレイに重ねて置く。 「ジュンはバイトとかしてるの?」とお兄さんに訊かれて、立ち上がろうとした腰をまた戻した。 「いいえ、学校でバイトは2年生からってなってるんで。......」  本当は僕には内緒のバイト?があったが、それは云わずにいた。 「じゃあ、小遣いとかどうしてる?高校生だと買いたい物も結構値が張るだろ?」  お兄さんも皿とカップを重ねて置くと、トレイを床に置いて少し離しながら訊いてくる。 「まあ、......特に欲しいものもないんで。」 「前はオレから小遣い巻き上げてたもんな。」 「え、....巻き上げるって、.....そんな事は。あれはお兄さんが........」  そう思い出させる様な事を云って、あっとなった。 お兄さんの手が僕の膝に伸びてくると、背中にまわされた腕で押し倒される。 「....っ、」と声が出ない僕に、「本当にジュンは変わらないね。カワイイままだし性格もこんなに素直。......オレが小遣いあげるよ。大人のバイトってのはどう?」と云った。 「大人の?」 「......昔みたいに触るだけじゃないよ。あそこに挿れさせてくれたら2万円あげる。」 「2,まんえん?.......え、.......」  僕が考えている間に、お兄さんは既に僕の学生ズボンに手を掛けていた。 「あれから勉強したんだ、オレ。女の子もいいけどさ、やっぱりジュンに挿れたいってずっと思ってたんだよね。いいだろ?一回で2万円って、こんなバイト何処さがしたってないよ。」  そこまで云われて、僕はある意味覚悟を決める。それに、おっさんにフェラするよりマシかも。ちゃんとしたバイトは来年まで出来ないし......。 「.......いいですよ。でも、僕、した事なくて。痛そうだし、......] 「大丈夫。オレがちゃんと解してあげるし、痛かったら途中でやめるから。」 「..........んん、........分かりました。」  僕の返事を待って、お兄さんは早速バッグの中から何かを取り出した。 「取り敢えず、コレでお腹の中のもの出しちゃって。その後シャワーするから。」 「あの、.....コレって、......。それに、家の人は帰ってきますよね。」  お兄さんの手から受け取ったのは浣腸の容器。一瞬ゾッとした。 「9時過ぎまで帰ってこないよ。ごめん、ウソついた。あつしは合宿だしおやじは出張。オフクロは隣のおばさんと夜遊び。」  完全に僕は騙されて、それでもお金に誘われてお兄さんの云う事を訊くという選択しか出来なかった。浣腸は遥か昔に一度だけしたが、どうだったか思い出せない。 「......じゃあ、......してきます。」 「うん、何かあったら云って。シャワーはオレがキレイに洗ってやるからさ。」  一緒に下の階まで降りて行き、僕はトイレにこもる。 どんどん自分が堕ちて行くような気がする。好きな男がいる訳じゃないし、自分をホモだと思った事もない。なのに、金の為に尻を差し出すだなんて。バカだよな........。  

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