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第一章・3

 さらに、事務所奥へ。  ドアを開け、応接室に入ると、そこに松下の言う所の遥が立っていた。 「お、おはようございます」 「おはよう」  夜なのに、おはようという挨拶。  この業界では、夜こそが朝なのだ。  ソファに掛け、了は遥を上から下まで眺めた。  柔らかな髪はナチュラルなマッシュで、ミルクティーのような色。  白い肌に、大きな瞳となだらかな鼻梁に、サンゴピンクの唇が映える。  すらりとした体は華奢で、腰が高い所についている。  申し分のない外見は、体にぴったりとした薄いアクアスーツで覆われていた。  肩を出した腕と、膝から下の脛までが露出している。 「南海 遥くん。事前に説明はあったと思うが、今の格好がそのまま君の制服だ」 「はい」 「着衣のままなら、君はお客様に何を要求されても拒むことはできない」 「はい」  まだ幼さの残る甘い顔だちをしていながら、その返事は歯切れがいい。  了はそこに好感を持ちながら、面接を続けた。

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