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第一章・4

「今まで上のクラブで働いていたそうだが、なぜ地下に潜ろうと思った?」 「お金が、欲しいからです」  了は、うなずいた。  確かに表のきれいな業務に比べれば、闇クラブの方が格段に稼ぎはいい。  客が落とすチップも、高額だ。 「では、なぜ金が欲しい?」 「それは」  初めて、口ごもった遥だ。  了は、興味を持った。  借金返済のため、という理由が、地下へ堕ちてくる子の理由のトップだ。  遥も、その口だろうか。 「弟の、治療費のためです」 「治療費?」 「弟は難病で。治療や手術にたくさんのお金が必要なんです」  ほう。  嘘にしても、出来過ぎている。  了は、さらに遥に興味を惹かれた。 「松下。この子は、私が直々にテストしよう」 「よろしいので?」 「部屋は空いているか」  ただ今、と動き出す松下に、ソファにゆったりと掛けたままの了。  遥は、不安になった。 (オーナー直々のテスト、って。一体僕は、何をさせられるんだろう)  考える間もなく部屋が整い、遥は了に伴われて地下の一室へ入った。

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