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第三章 店外デート
遥が高級闇クラブの商品として働き始めて、二週間が過ぎていた。
「彼は、どうしているだろう」
了は、二週間ぶりにクラブへ足を運んだ。
実を言えば、初日から気になっていた。
毎日でも、様子をうかがいに出向きたかった。
しかしオーナーたるもの、商品一つに固執するわけにはいかない。
まずは地上一階のクラブ・コーラルで、松下を待った。
「これはこれは。ようこそいらっしゃいました!」
「どうだ、景気は」
「おかげさまで、繁盛しております」
むろん、これは闇クラブを指して交わした言葉だ。
「新規会員様もありますし、また、一般会員様からさらに上の会員様へ昇格される方も」
「そうか。それで、あの。彼はどうしてる?」
「彼、とおっしゃいますと?」
「二週間前に商品化した、小さなΩだ。名は、何と言ったかな」
本当は遥の名前をしっかり憶えていながら、了はわざと忘れたふりをした。
「ああ、遥くんですね。ちゃんと稼いでおりますよ」
正直、最初は不安があった、と松下は言う。
「体力、気力が持つか、と案じておりました。なにせ、Ωですので」
今では常連の会員もついて、人気が出てきている。
そんな松下の言葉に、了は眉根をひそめた。
(それだけ大勢の人間に、玩具にされている、ということだ)
「今夜は私も遊んでいこう。彼を指名する」
「承知いたしました」
了は席を立つと、地下へと降りていった。
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