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第三章・2

 地下三階。ゴールド会員の一室で、了は遥を待っていた。 「遅いな」  おそらく、接待中なのだろう。  それが終われば、ここへ現れるに違いない。  待ったのはほんの10分ほどで、遥はやって来た。 「お待たせいたしました!」  二週間前と変わらない彼の姿に、了は安堵した。  やつれたり、逆に激太りしたりしていないかと、心配だったのだ。  しかし、そんな柔らかな心は奥深くに隠し、了は遥に命じた。 「ブランデーを、一杯。それから、ミネラルウォーター」 「かしこまりました」  てきぱきと準備を整え、遥がテーブルに戻ってくるのは早かった。 「慣れたようだな」 「おかげさまで」  ブランデーを一口飲み、了は違うと感じていた。  私は、こんなビジネスライクな会話を望んではいなかったはずだ。 「よかったら、飲むといい」 「ありがとうございます」  よく冷えたミネラルウォーターを遥に勧め、了は再び沈黙した。

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