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第三章・3
(オーナーさん、どうしたんだろう)
そんな了を、遥は不思議に思っていた。
ここに来たからには、すぐにセックスを命じて来ると予想していたからだ。
ブランデーをもう一杯用意させ、了はようやく遥に訊きたかったことを口にした。
「弟の病状は、どうだ?」
「い、今は落ち着いてます」
遥は驚きのあまり、口ごもってしまった。
なぜ、オーナーさんが僕の弟の心配を?
「良かったな」
「あ、はい……」
「君はどうなんだ。困った客は、いないか?」
「皆さん、可愛がってくださいます」
ああ、と了は額を指で押さえた。
『皆さん、可愛がってくださいます』
いかにも、商品の言いそうな言葉だ。
了は、遥にそんな返事を望んではいなかった。
「例えば? どんなことをされる? やらされる?」
「え。えっと」
(言ってもいいのかな。オーナーさん、怒らないよね?)
少しためらった後、遥は告白した。
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