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第三章・5
ビルの通用口で遥を待っていた了は、駆けてきた彼の姿に驚いた。
白いパーカーにジーンズという格好は、普通の青年そのものだ。
いや、どちらかというと少年に近い。
童顔で華奢な遥は、とても20歳で闇クラブに勤めているようには見えなかった。
「お待たせしました!」
「さほど待ってはいない」
行くぞ、と了は先を歩き始めた。
「どこへ行くんですか?」
「そのうち解る」
とは言え、内心迷っている了だ。
(ホテルにでも行こうと思っていたが)
高級ホテルのラウンジで彼をねぎらい、その後部屋でセックスに持ち込むつもりだった。
しかし、この清潔感あふれる遥の姿に、心は揺れた。
駐車場に停めていたボルボに乗り込み、行先の決まらぬままエンジンをふかす。
「カッコいい車ですね!」
「そうか?」
まだ幼さの残る、遥のセリフだ。
その言葉に、了は目的地を決めた。
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