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第三章・6

 大型リゾートパークの、ナイトパレード。  きらきらと輝く光と、素敵な音楽の織りなす、動くオブジェだ。 「すごい! 初めて見たぁ! きれい!」  大興奮の遥は、すっかり素になってしまっている。  その姿に、了は満足した。 「お楽しみは、まだまだこれからだぞ」  パレードが終わり、広場は静寂と闇に包まれた。  そこへ、不意をついて大輪の花火が打ちあがったのだ。 「うわぁ……!」  パレードとはまた違う煌めきに、遥は心を奪われた。  了が、そっとその手を握ったことにも、気づかなかった。  あまりに美しく儚く、涙が頬を伝う。 「大丈夫か?」 「すみません。弟にも、こんなきれいな花火、見せてあげたいな、って思っちゃって」 「見せられるさ。君はしっかり働いてる。神様は、きっと願いをきいてくれる」  その言葉に、遥は了の手をしっかりと握り返した。

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