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第四章・2
「あの。オーナーさんの名前を訊いても、いいですか?」
「え?」
今度は了が、不思議そうな顔をした。
「伝えてなかったか?」
「はい」
そうか、と了は鼻の頭を軽く撫でた後、答えた。
「葛城 了だ。第二性はαで、年齢は36歳。身長180㎝、体重71kg、健康状態は良好」
くすっ、と遥は笑った。
「そこまで詳しく教えてくださるとは、思いませんでした」
「ちなみに体脂肪率は12%だぞ」
遥は、笑った。
それは、了が初めて見る彼の笑顔だった。
(何て素直で、いい笑顔だ)
思わずつられて、こちらも笑ってしまいそうな、素敵な笑顔。
いかん、と了はカクテルを干した。
(この子は、あくまでうちの商品。情を絡めるわけにはいかない)
わざと無表情で、了は席を立った。
「行こうか」
「はい」
どこへ行くか、など、遥は充分承知していた。
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