28 / 87

第四章・7

「遥、二週間で何人の客と寝た?」 「う、うぅ。覚えてません」 「ちゃんと、スキンは着けてもらっていたか?」 「あ、はぁッ! ごめんなさい、着けてない人も、いましたぁ!」  了は、舌打ちしたい心地だった。  ゴールド会員には挿入を許している。  商品を傷つけさえしなければ、何をやってもいいのだ。  たとえ、それが中出しでも、だ。 (うちの客は、外面のいい人間ばかりではあるが)  それでも、性病の疑いはぬぐえない。  遥が、気づかないうちに汚染されていないとも限らないのだ。 (一度吐いた後、生挿入しようかと考えていたが。やめておいた方がよさそうだな) 「遥、出すぞ」 「ひぁっ! や、あ、あぁ、あぁあ!」  スキン越しとは言え、遥の体内は大きく震えた。  最奥に叩きつけられる熱い濁流を、感じ取っていた。 「んあぁ、あ! 葛城さぁ、んッ!」 「了、でいい」  大きな体ですっぽりと遥を抱き覆い、了は腰を揺すった。 「あ、それ、ダメ。気持ち、い……。葛城さん、ダメぇ……」 「了、だ」 「了さん」  それでいい、と了は遥にキスをした。 「んぅ。了さんのキス、好き……」  それは嬉しいな、と了は感じた。  ようやく遥の素顔を、少しだけ見せてもらった気になっていた。

ともだちにシェアしよう!