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第五章 了の提案
「ん……」
柔らかなベッドの上で、遥は目を覚ました。
小さなアパートの、薄い布団ではない。
「ここ、どこ?」
ころん、と寝返りを打ち、昨夜の記憶を手繰ってみた。
『あ、それ、ダメ。気持ち、い……。葛城さん、ダメぇ……』
『了、だ』
『了さん』
『それでいい』
『んぅ。了さんのキス、好き……』
思い出し、耳が熱くなる。
「僕ったら、なんて図々しい無礼なことを!」
がばりと上半身を起こすと、優しい紅茶の香りが漂ってきた。
「目が覚めたか」
「了さ、いえ、葛城さん!」
「了でいい、と言ったはずだ」
了は、目覚めた遥に紅茶のカップを手渡してくれた。
「飲んだら、シャワーを使うといい」
「ありがとうございます」
優しい中にもフレッシュな香りの潜んだ、朝にぴったりのフレーバーだ。
「あの。嬉しいです」
「紅茶くらいで」
いえ、紅茶じゃなくって、と遥は頬を染めた。
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