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第五章・5

 一週間後、遥は『特別なお客様』に指名を受けた。 「ゴールド会員様ですか?」 「オーナーの、葛城様だ。失礼のないように」  松下に言いつけられ遥は恐縮したが、内心嬉しかった。 (オーナーさんの、お相手ができる!)  闇クラブで商品として働き始めて、三週間が過ぎていた。  性行為に未熟な、ほとんど白紙状態だった遥なので、どんな変態行為も受け入れることはできたが、優しい了のことを思うと心が和む。 「今夜は、オーナーさんが最後のお客様だといいな」  先ほどまで、シルバー会員に痛めつけられていた身体をシャワーで清めながら、鼻歌を歌う。  新しい制服を身につけ、地下三階へと降りた。 「こんばんは、遥です。ご指名、ありがとうございます!」 「うん。久しぶりだな」 「一週間前に、お会いしましたよ」 「そうだったかな?」  了はとぼけて見せたが、実はしっかり記憶している。 (あの時はパレードと花火を観て、その後ホテルへ行ったんだ)  一週間程度で人が変わるとは思わなかったが、了は遥が気になった。 「さっきまで、何をしていた?」 「シルバー会員様を、接待していました」 「何をされた?」 「えっと……。鏡に向かって、自慰をさせられました」  了は、指で額を押さえた。 (全く、どいつもこいつも変態ばかり!)  私は違うつもりだ、と了は自分のことを棚に上げ、遥をベッドにいざなった。

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