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第七章・2

 粘着質の遠山は、官僚だ。  了よりやや年上の、40代。  激務の合間を縫って、こうしてお気に入りの商品に会いに来る。  遥はその中の一人だ。  他にも指名を受ける子はいたが、皆そろって嫌がっていた。 『遥くん、今夜のご指名は誰?』 『2時から、遠山さま。後は、未定だよ』 『うゎ、最悪。朝まで、放してもらえないよ』 『うん……』  こんな会話を、遥もよく交わしていた。 (今夜は、まだマシな方。遠山さま、お疲れみたい)  僕も、クタクタだけど。 「そら、遥! 中出しするぞ、受け取れ!」 「はぁ、あぁあ! あ、ありがとう、ございますッ!」  あぁ、ダメ。  目の前が、チカチカする。  鳥肌立って、ゾクゾクしちゃう。  体内に遠山の精を迎え入れ、心では嫌がっていても反応してしまう身体が恨めしい。  どんどんこの仕事に慣らされてゆく自分が、呪わしい。  遥は、自分で自分が嫌いになっていた。

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