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第七章・5
「結論から言えば、弟くんを一ヶ月後に手術することが可能だ」
「ホントですか!」
「私の知り合いの医師が、この病気のエキスパートを紹介してくれてね」
「エキスパート、ですか」
「同じ病気の患者を、これまでに何度も手術してるらしい。もちろん、全て成功させてる」
ああ、と遥は上を向いた。
そう聞いただけで、もう航大が元気に歩いている姿が目に浮かぶ。
「弟くんの今入院している病院にその医師が出向き、手術してくれるそうだ」
「じゃあ、転院せずに済むんですね」
「患者に負担を掛けずに済むように、そう決まった」
ありがとうございます、と遥は深々と頭を下げた。
「何もかも、了さんのおかげです」
「お礼は、病気が治ってから聞こうかな」
にっこり微笑む了の顔に、遥は救われた。
辛かった昨夜の闇クラブでの一件も、溶けて消えた。
しかし、その了からクラブの話が出て来た。
「今夜も、勤めはあるのか?」
「あ、はい」
「最近、あるゴールド会員が君にご執心だと聞くが……」
(遠山さまのことだな)
遥はピンと来たが、会員の実名を表で話すことは、禁じられている。
「チップをたくさん、くださいます」
「そうか、ならいいが。困ってはいないか?」
「はい」
本当は、もう彼の接待はしたくない、と言いたい遥だ。
(それでも、我慢しなきゃ)
こうして、時々了さんとお話ししたりできるんだから。
今日は、最高のニュースを運んで来てくれたんだし。
笑顔で了と別れたが、その日の晩も遠山が遥を指名してきた。
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