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第八章 了VS遠山
「遠山さんは、出禁にするかな」
「えっ?」
キスをして、そのままベッドに横になった了は、そうつぶやいた。
隣に座る遥を見上げ、唇を尖らせる。
「商品を買い上げる、だなんてとんでもない。他の子たちからも、良くない評判を聞くし」
「あの。そういう前例はないんですか?」
「無いよ。このクラブの商品は、皆3年契約だ。3年勤めあげないと、辞められない」
「そう、ですよね」
何だ何だ、と了は遥の腕に手を伸ばした。
「まさか、遠山さんに買い上げてもらいたい、とか?」
「いいえ! 違います!」
強い遥の口調に、了は笑った。
「だろうね。彼の性癖は度を越してる」
おいで、と了は腕を広げた。
遥がそこへすっぽりと収まってしまうと、髪を撫でてくれた。
「今夜はこのまま、ゆっくり眠るといい」
「いいんですか」
「遠山さんに散々苛められた後の遥を嬲るほど、私は鬼じゃないよ」
「ありがとうございます」
(ありがとうございます、了さん)
疲れから、遥はすぐにうとうとし始めた。
(了さん、何だかお兄さんみたい)
僕は航大のお兄さんだけど、僕にお兄さんがいたら、こんな風に感じるのかな……。
そんなことを考えながら、眠りに就いた。
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