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第八章・2
了は遥を寝かしつけ、一人物思いに耽っていた。
「遠山さんを出禁に、か」
口で言うのは簡単だが、そう事はうまく運ばないだろう。
年会費はきちんと収めるし、飲食もしてくれる。
商品によこすチップも、高額だ。
どこから見ても、模範的なゴールド会員、なのだが。
『君は私を、愛してるんだろう? 私も君を愛してる。そんな二人は、結ばれるべきだよ』
あの言葉が、了の神経を苛立たせていた。
「遠山さんは、のめり込み過ぎだ」
どう考えても、遥が遠山を愛しているとは思えない。
「妄想が暴走する前に、何とかしなくてはな」
遥を起こさないようにベッドから抜け出し、了は事務所へ足を運んだ。
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