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第九章 悲しい告白
「私たちは愛し合ってるんだ、には参ったな」
「了さん、傷はもういいんですか?」
遠山に刺され、腕をケガした了は、苦笑いをした。
「まだ包帯を巻かれているよ。大げさだと思うんだがね」
幸い神経を傷つけてはいなかったので、出血だけで済んだ。
遠山は逃げ、もう二度とクラブに顔を出すことはなかった。
「しばらくジム通いは、お預け。そこで遥のアパートにお邪魔してるんだが、迷惑じゃないか?」
「とんでもない。ありがたいくらいです」
「嬉しいね」
紅茶を勧めながら、遥は言う。
この街に出てきて友達も作らずに、孤独な日々を送っていた。
アパートの部屋に上がってくれたのは、了さんが初めてだ、と。
「遥だったらその気になれば、友達くらいすぐできるだろうに」
「友達との付き合いに、お金を使うわけにはいかないので」
稼いだ金は、必要経費以外は全て弟のために送金している遥だ。
その弟、航大の手術の日が迫っていた。
「いよいよ、3日後です」
「手術の日は、郷里に帰るんだったな。久々の再会だ」
「はい。……嬉しいです」
瞼を伏せ、頬を染め、静かに微笑む遥に、了はある閃きを感じた。
それは、できれば当たって欲しくない思い付きだった。
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