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第九章・6

(僕、本当は闇クラブにも勤めているのに)  知れば、両親は激怒するだろう。  そして、航大。 (航大に、僕は汚れた人間だ、って思われちゃうな。きっと)  それだけは避けたい、遥だ。  そんなことを考えていると、了が航大の話を振ってきた。 「航大くんは、いかがですか? いよいよ手術ですが、病状は」 「安定しております。ありがとうございます」 「手術が決まると、返って元気になりました」  それは良かった、と了は出されたお茶を一口飲んだ。 「葛城さんが、いいお医者様をご紹介してくださったから」 「本当に、感謝しております」 「きっと手術は、成功しますよ」  では、と了は席を立った。 「わたくしは、ここで。手術の成功を、お祈り申し上げます」  そこで初めて、遥が口を開いた。 「僕、そこまでお送りします」

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