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第十章・5

 病室に戻り、雪緒の介助でベッドに横になった航大は、彼に声をかけた。 「じゃあ、また明日」 「うん、また頑張ろうね」  ふ、と二人で視線を合わせ、雪緒は一礼して部屋から出て行った。  途端に、航大は遥に身を乗り出した。 「ね。雪緒さんのこと、どう思う?」 「どう、って。航大のこと親身になって考えてくれる、いい看護師さんじゃないかな」 「それと、素敵な人だろ?」 「ん? まあ、ね」  ちょっと、待って欲しい。  遥の胸は、嫌な予感に張り裂けそうだった。 「雪緒さん、Ωなんだ。運命の番って、ホントにあるんだなぁ、って思ったよ」 「ど、どう言うことかな」  少し声をひそめ、航大は遥に打ち明けた。 「実はさ、俺たち付き合ってるんだ」 「え!?」  一目会った時から、二人は恋に落ちたという。  そんな航大に、遥は必死に訴えた。 「でも、雪緒さんは航大よりずっと年上だろう? いいのかな、そんなのって!」 「年上って言っても、6年くらいだよ。それにさ、両想いだし」  遥は、頭を殴られたようなショックを受けていた。 (僕だって、航大が好きなのに。今日こそ、告白しようと思ってたのに!)

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