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第十一章・4
思いがけないセクシャルな遥の言葉に、了はドキリとした。
「遥、やけになってないか? 自分は大切にしなさい」
「了さん、最近全然僕を抱いてくれませんよね? なぜですか?」
僕のこと、嫌いですか?
ぽろぽろと涙をこぼしながら訴える遥に、了は降参した。
「嫌いになんかなるもんか。私はね、航大くんに遠慮してただけだ」
「遠慮?」
「遥には、一番好きな人がいる。そう知ったからには、とても身体を抱けないよ」
「了さん……」
バスローブ姿の遥が、了の胸にすがる。
石鹸の香りとΩのフェロモンとで、了はのぼせそうだった。
脳をかき回され、熱い衝動が沸き上がって来る。
最後の理性を振り絞り、了は大切なことを口にした。
「でもね。私にとっての一番は、遥。君なんだ」
「えっ?」
「好きだよ、遥」
できれば、二番目から一番に昇格させて欲しい、とは言えなかった。
遥は一番好きな人を、失ったばかりなのだから。
さあ、と了は遥の肩に手を乗せた。
「お薬を、飲むんだ。フェロモンにイカレたαに抱かれたくはないだろう?」
しかし遥の返事は、キスだった。
背伸びをし、了の唇に口づけた。
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