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第十二章・4
「闇クラブは当面の間、休業!?」
「遥も松下と同じリアクションをするなぁ」
展望レストランで季節の懐石を楽しみながら、遥は了から打ち明けられた。
「でも、それじゃ休業中は無職になる子もいるんじゃ……」
遥は地上のボーイズクラブでも働いているので、無給になることはない。
しかし、同僚には闇クラブ一本で働いている子もいた。
そんな彼らを、遥は案じた。
「他人の心配をするなんて、遥はやっぱり優しいね。でも、心配には及ばない」
クラブは月給制なので、一ヶ月の収入は変わらないのだ、と了は言う。
「その間、ちょっと内装を変えようと思ってる。出来たら、遥は驚くよ」
「いい意味で、ですね」
「その通り。楽しみにしててくれ」
闇クラブは、光の元に生まれ変わるんだ。
謎めいた了の言葉だったが、遥は彼を信じた。
(了さんなら、きっと素敵なクラブにしてくれるに違いない)
そう、思った。
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