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第2話『終わりと始まり』
御家人の家の次男として生まれた俺、柊弦次郎が有力大名である聖籠城城主、筧敦央様の小姓になったのは人生に絶望していた33の時の事だ。
それまでの俺は跡取りのいない旗本、柊家に養子に入り、城の警備の仕事をしながら好き勝手に暮らし、酸いも甘いもそれなりに知った。
25の時には当時の城主である敦央様の義父君の治朋様暗殺を企てた御家人たちを捕えた事もあったが、その中のひとり、漣秀太郎は15にしてその剣術と頭の回転の早さからこのまま処刑するには惜しい男と思い、秀太郎を説得し、家臣として雇っていた。
妻を娶ったのは昨年の今頃。
そろそろ所帯を持つのも悪くないかとふと思いたち、親類から器量良しの女子をと頼んで嫁いでもらったが、この妻が子を身篭ったかと思ったら出産と同時に子供と共に死んでしまったのだ。
これから何を支えに生きていけば。
そんな時に小姓の話が舞い込んできた。
秀太郎に新しい環境で面白き事があるかもしれないと励まされ、この話を受ける事にしたのが全ての始まりだった。
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