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第22話

デッサンモデルは明日にしよう、と先生は面接後に切り出し、とりあえず、まだ昼食をとっていない、という圭介も交え、僕の手料理で3人で腹ごしらえとなった。 「Yuさん...でしたっけ」 テーブルを挟み、目の前に座る圭介が僕を見る。 「あ、うん、ホームページではね。西垣祐希だよ」 「祐希さん、ていうんですね。見ました、祐希さんがモデルの絵画!」 えっ、と僕は目を見開いた。 「掲示板で展示会のときにいた客と会ったのかもな」 先生が味噌汁を啜りながら、そう言うと、いえ、と圭介が首を振った。 「絵画を買った人のご友人、て方と会いました。それで、ここを知るきっかけにもなりました」 「僕がモデルの絵画、て何処にどんな風に飾られていたの?」 「普通にリビングや、あと、寝室とか。お金持ちみたいで、立派なマンションでしたが、他にもマンションや一軒家を持ってる、て話しでした」 「完全なプライベートな部屋なんだろうな」 感心したように先生が言った。 食事が終わりしばらくすると、チラチラ、圭介が先生を見ているが、先生はなにやら雑誌を読んでいて、僕も洗い物のためにキッチンに立った。 「...しませんか?」 不意に背後から圭介の声がした。 振り返ると、ソファで雑誌を読んでいる先生に寄りかかり甘えている。 そんなときだった。 けたたましく玄関のチャイムが連打される。 「...随分、うるさいな。祐希、出てくれるか?」 「はい、先生」 タオルで手を拭き、玄関を開けた僕は唖然とし、固まった。

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