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第23話

開けてびっくり、ネクタイにスーツ姿のサラリーマン。 「沢村さん!?」 「西垣くん!?」 互いに名前を呼び合い、目を見開いた。 経営不振のために倒産したが、沢村さんの勤めている会社は僕の勤めていた会社の取り引き先の会社で、 しかも、僕は担当であり、沢村さんと面識があった。 先方の会社に出向き、打ち合わせだったり、会社帰り、飲みに行った過去もある。 打ち合わせの続きの会話や、次第には互いの会社の愚痴を話したりもあった。 僕の2つ上の24歳だ。 「な、なんで、沢村さんが...!?」 「え!?西垣くんこそ...」 「たっちゃん!?」 振り返ると様子を見に来た、先生と圭介の姿があった。 「た、たっちゃん...?」 僕が目を丸くし、呟くなり、沢村さんが動揺しているのがわかった。 「お、弟なんだ」 「弟!?圭介のお兄さん!?」 小声な沢村さんと打って変わり、驚愕した僕は思わず声を荒らげてしまった。 「なに言ってんの、たっちゃん!お兄ちゃんじゃないでしょ!彼氏でしょ!」 怒り心頭な様子で圭介が向かってきた。 「か、彼氏!?」 沢村さん、俯いたままだ。 「そ!てか、なんで来んの!僕、決まったから!絵、描いて貰うんだ!」 「追い出されたのなら家にいたらいいって言っただろ!」 「やだ!たっちゃんちにいたら、遊び行けないもん!」 2人の言い争いを呆然と眺めた。 「...遊び?」 僕が小さく尋ねる。 「はい!たっちゃんち居たら、他の人とエッチ出来なくなりそうだから!」 ああ、そういう...僕は言葉を失った。 「とりあえず、立ち話もなんですから、どうぞ」 部屋に上がるよう、先生は沢村さんを促した。

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