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椎名さんが心配です。(1)

 †  翌日の平日も、宝はいつものように勤務先へと向かった。  しかし、その日はいつもとは違った。  それというのも、丞の顔色がどうも優れないのだ。  宝が出勤したての早朝は、どこか様子がおかしいと思いながらも、もしかすると自分の思い過ごしかもしれないと否定し、作業に取りかかっていたのだが、時間が経つにつれ、丞の表情に変化が現れはじめた。  なにせ彼は仕事の用件以外、殆ど話さない無口な人柄だ。思ったことがすぐ顔に出る宝とは違い、彼は普段、何を考え、何を思っているのかもわからない。  それでも丞の異変に気がついたのは、出社してから三時間が過ぎた正午前だ。  夏は終わりを告げ、秋へと移り変わっているこの季節。まだ日中は暑いものの、けれどもそこまでの蒸し暑さはなく、況してやここは山奥で、コンクリートに覆われている都会よりも気温が下がっている。それでも彼は玉のような汗を額に浮かべ、常に引き結ばれている薄い唇の色は青い。

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