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椎名さんが心配です。(2)

「あの、大丈夫ですか? 顔色があまり優れないようですが……」  見るに堪えかねた宝はパソコンとにらみ合っている丞に訊ねた。 「問題ない」  しかし、彼の宝に対する無愛想は相変わらず健在だ。眉根を寄せ、心配そうに訊ねる宝をほんの少し横目に入れただけでたったひと言そう告げたきり、もう何も話そうとはしない。骨張った長い指がひたすらキーボードを打ち続ける。 「でも、あのっ!」  それでも丞の体調を気にする宝は、かまわず今日は仕事を休むようお願いしようと口を開く。 「体調管理も仕事のひとつ、なんでしょう? リーダー?」  体調が悪いのに仕事を続ける丞と、挙動不審な宝に見かねたのか、横から口を出したのは阿佐見だ。  それは先日、宝に言った丞の言葉だ。  阿佐見は丞に無理をしないようにと(さと)す。  自分が言った言葉に、流石の丞もぐうの音が出ないのか、指先がキーボードから離れた。

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