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異変。(4)

 もう少し先へ進むとようやく現れたのは両手開きの玄関ドアだ。ノックをしても返事はない。  もしや屋内で丞が倒れているのかもしれない、  宝が慌ててドアノブを回せば、門同様、やはり軋んだ音を奏でて開いた。  屋敷の中は薄暗い。しかも外観から見る以上にとても広く感じた。玄関を抜け、長い廊下を歩く間にも、いくつもの部屋が存在する。 「椎名さんいますか?」  声を張り上げ、丞を探すも、未だに返事はない。  果たして丞の体調はまだ悪いのだろうか。  おそらく寝室は二階にあるだろう。不安な気持ちを抱え、中央付近にあった階段を上る。すると微かだが誰かの呻り声が聞こえてきた。  その声は低い。男のものだ。  苦しそうなこの声は果たして丞だろうか。  病院もないこんな山奥では、救急車を呼んでもすぐに来てくれる保証はない。  宝は声のする方へと急いだ。

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