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異変。(6)
バルコニーへと続く窓は開いていて、そこから侵入する風が淡い蝋燭の炎を揺らす。
それでも室内は薄暗い。蝋燭の炎では灯しきれない。
部屋の奥は闇に包まれていた。
彼はいったいどこにいるのだろうか。
宝が電気を点けようと壁に手を伸ばしたその時だ。
「点けるな!!」
丞は声を張り上げ、宝を制した。
「椎名さん?」
目を凝らし、視界を巡らせると、見えたのは蝋燭の炎を避けるようにして部屋の隅で蹲 っている人影だ。
「椎名さんですか? 椎名さん大丈夫ですか?」
宝は慌てて丞に駆け寄ると、しかし彼は差し伸べた宝の腕を弾いた。
「俺に構わず帰れ!!」
「そんなに苦しそうにしているのに帰れません!!」
なぜ、彼はこういう時にすらも自分を邪険に扱うのだろうか。それほどまでに自分は嫌われているのか。
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