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丞の正体。(6)
「俺の所為だ。椎名さんごめんなさい、ごめんなさい……」
宝の視界が揺れる。やがて涙袋から溢れた涙が頬を伝い、横たわる彼の口元に落ちる。
宝は傷ついた狼の前で項垂れ、自己嫌悪に陥っていると、彼の耳元で何かが動く気配を感じた。
振り向けば、そこには丞よりも一回りほど小さな、銀の毛を持つ狼が二匹佇んでいた。
ひょっとして彼の仲間だろうか。
宝は新たに現れた狼を見つめていると、やがてそれは人型へと変化していく……。
彼らが人型へと姿を変えたその瞬間、宝は目を疑った。
だってそこには見知った人物がいたからだ。
ひとりは腰まである波打つ髪に、赤いスーツを身に纏い、ピンヒールを履いた――阿佐見 泪と、そしてもうひとりは金髪で長身の男――斎 智也が立っていた。
「彼なら平気よ。ウェアウルフは人間よりもずっと治癒能力が高いの」
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