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夜明け。(2)
それは一見、宝にとって嬉しいことだが、しかし丞が自分を嫌っているという事実は変わりない。
好きな人にはいつも心穏やかに過ごしてほしいと思う。
だから宝は、この情事のことを誰にも言うつもりはなく、胸の奥に仕舞い込むつもりだった。
「好き」
ぽつりと告げたその言葉は、けれど眠っている丞には届かない。
丞の胸に顔を埋め、抱かれた余韻に浸っていると、丞の身体がわずかに震えた。
どうやらこの恋も夜が明けるらしい。
宝はベッドから飛び起きると、無造作に落ちているシャツとズボンを拾い上げ、キスマークが付いた身体をなんとか隠した程度の姿になる。
気になるのはあれから幾度と達したために残った情事の後だ。自分の精が放たれている丞の衣服を彼の身体から剥ぎ取ると、手近にあるゴミ箱に突っ込んだ。
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