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恋の終わり。(1)

 †  斎は、宝が閉めようとするドアに足を引っかけ、阻止すると、ドアノブを握っている腕を掴み上げた。 「いやっ、なにっ?」  突然横から現れた斎に驚く宝は反応が遅れてしまう。  その隙を狙い、斎はもう片方の腕も伸ばした。乱暴にシャツのボタンを引き千切る。  そうすると見えるのは、日焼け知らずの貧弱な身体に散りばめられた鮮やかな赤い斑点だ。  これは昨夜、丞が宝を抱いた時に付けたキスマークに他ならない。 「丞。お前なら、この痣を誰が付けたのかわかるよな?」  斎は、もう片方の腕をも掴むと、愛撫の痕を見せつけた。  丞から、息を飲む音が聞こえる。 「いやっ! 離してっ!!」  ――知られた。  知られてしまった。  丞には自分が抱かれた事実を隠し通すとそう決めたのに……。  丞は自分を嫌っている。  その自分を抱いた事実を知られたことに慌てた。

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