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恋の終わり。(2)
身を捩って斎から離れようとするものの、彼は怪力で、宝の抵抗も無駄に終わる。
丞に抱かれたのも覚悟してのことだ。だから彼が自分を責める必要はない。
責任や同情なんてものも感じてほしくなかった。
だって彼が宝を哀れに思えば、自分は惨めになるだけだったから……。
丞への恋心も否定される気がしたから、だから抱かれた事実を口にしなかった。
それなのに――。
斎は自分の身体に乗っている情事の痕を、丞に見せつける。
丞は宝を抱いたという事実が信じられないのだろう。目を見開き、驚いている。
それはそうだ。だって自分と彼は同性で、性的欲望の対象ではない筈だから……。
けれども宝を抱いたと知った彼は、責任を果たそうとするだろう。
たとえ、相手が男で、況してや嫌悪感を抱いている宝であっても――。
「やめてっ! いやだっ!!」
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