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恋の終わり。(4)
謝罪なんてされたら余計に自分が惨めになるだけだ。
「しかし!」
尚も引き下がろうとしない丞に、宝は首を振った。
「いいのっ。気にしないで。こうなることが判っていて俺が勝手に付き添ったんだ。だから貴方が気追う必要なんて無い」
宝はどう言えばいいのか判らず首を振る。
ひとつ、またひとつと、潤んだ目から涙がこぼれ落ちていく……。
どうにか丞に判ってもらいたくて説明しようと開く唇からは、嗚咽がせきあげてくるばかりだ。
「……どうしてこうなっちゃうの……」
情事のこれを丞に見せた斎が恨めしい。
宝は涙目のまま斎を睨みつけると、彼の腕を振り切り、その胸を叩く。
「どうして……どうして言うの? 昨日も――今朝も――今までだって、ずっとずっと好きっていう気持ちを言わないように我慢したのにっ!! これじゃあ椎名さんは自分を責めるじゃないかっ!! 俺が勝手に好きになって傷ついているだけなのに……斎さんのばかっ! ばかっ! 馬鹿ああっ!!」
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