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恋の終わり。(5)
「いてっ、痛てぇっ! やめろって!!」
わかっている。これはただの八つ当たりだ。それでも宝には斎が許せなかった。
だって斎はこの恋に終わりを告げろとそう言っているようだ。
せめてもう少しだけでも、丞を好きでいさせてほしかった。
けれどもこの恋に終わりがやって来るだろうことは判っていた。
先延ばしにしたって変わりはない。いや、それどころか丞への想いは大きくなり、ますます深みに填 っていくだけだろう。
「っ……もう、想うことも許されないの……?」
涙が流れるのは仕方ない。だって宝にとって丞が全てだったのだ。三年にも及ぶ恋が、終わる。
絶望が宝を覆い、立つことさえもままならない。悲しみに覆われた宝は、とうとう頽 れてしまった。
「っひ……も、やだ……」
大の男が人前で、しかも大声で泣きじゃくるなんて女々しい奴だと思われただろう。
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