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恋の終わり。(6)
「出てってよ! もういいから。二人とも出て行けっ!!」
今は自分一人にしてほしい。
絶望を感じて、ただ泣きじゃくりたかった。
……好きだった。誰よりも強くて凛々しい、責任感の強い丞のことが――。
上司からも期待されていて、揺るぎない信念を持つ丞のことが――。
「こんなに好きなのに……抱かれたのだって、別に良かったんだ……たとえ、俺の事を性欲処理として抱いたのだとしても……嬉しかったから……」
顔を隠し、宝はしゃくりを上げて涙を流す。
この恋の終わりを噛みしめながら……。
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