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秘恋。(4)

「……昨夜、君を抱いた夢を見た。もし、それが本当だったならどんなに嬉しいと思ったか……。しかしその反面、実際は無理矢理君を抱いてしまったかもしれないと思ったら、どうにも収まりが付かなくて……」  彼は本当に、椎名 丞だろうか。  常に自身に満ち溢れ、会社の重役たちからも指示されている丞。  けれど今、宝の前にいるのは、声を震わせ、今にも泣き出してしまいそうなほど、他人から拒絶されることを恐れる弱々しい姿をした彼だ。 「椎名さんは、俺が好き?」  ぽつり、宝が呟けば――。 「ああ」  丞は大きく頷いた。 「――っつ!!」 (これは夢? 信じられない……) 「俺は……俺も……好き。椎名さんが、好きです……」  宝が腕を伸ばし、広いその背にしがみつけば――丞は、「両想いだったんだな」と、呟いた。 (ああ、椎名さん……)  湧き上がるこの気持ちを何と言い現せばいいのだろう。

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