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夢のあと。(1)

 †  晴れて丞と両想いになった宝は斎に叩いたことを謝罪して、丞に横抱きにされたまま、彼の屋敷にやって来た。  そこで丞から打ち明けられたのは、彼は生まれ持ってのウェアウルフという一族で、山奥で子会社を設立するという話を聞き、自ら立候補したこと――。  宝を自分たちのチームに推薦しなかったのは(ひとえ)に自分が化け物だということを知られ、嫌われたくなかったということ――。  そして、彼の年齢は宝が思っていたよりもずっと年上で、ウェアウルフは人間よりもずっと長寿の生き物で、しかも年を取るのがとても遅いということ――。  それらを宝が理解するまで根気よく話してもらった。  丞と両想いになってから、いったいどれほどの時間が過ぎただろう。気がつけば太陽は消え、代わりに欠けた月が顔を出していた。

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