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第2話
体育祭の日僕は先生の練習のおかげかビリではなかった。
2位だった。
せっかく教えて貰ったのに。
そう思いながら翔と帰っていた。
「いっくん。あの約束覚えてる?頑張ったらチューしてあげるの約束。」
「何言ってんの冗談でしょ?僕は好きな人としかしないって決めてるの!!」
「いっくん。気づいてないの?……俺中学の時からずっといっくんのことしか見てないよ」
思わず言葉が詰まる。
「中学で女の子と付き合ってたのもいっくんに嫉妬させたかったから。けど全部なんか違くて……」
翔が一瞬黙り込んだ。
「俺はいっくんが好きだよ。」
翔の真剣な顔になんて返事をしたらいいのか分からなかった。
「ごめん急に……。俺もう帰るねまた明日」
そう言いながら帰る後ろ姿はどこか寂しかった。
翔がいたから立ち直れた。
翔はずっと隣にいてくれて幼なじみだと思ってた。
考えすぎてどうしたらいいのか分からなくなった。
次の日も次の次の日も翔と話すことは無かった。
一緒に帰ることは無いはずなのにいつもどうり教室で勉強をしていると先生が来た。
「円、何か本庄とあったろ。俺に相談いつでもしろって言ったよな?話しにくいか?」
「そうじゃなくて僕が……僕で解決しなきゃいけない気がして。」
「そっかそっか。ごめん追い詰めようと思ったんじゃないんだ。自分の気持ちに素直になれ。それが一番だと思うぞ」
先生の一言で決心が着いた。
学校から帰る途中翔の家によった。
翔のお母さんによるとまだ帰ってきていないらしい。
家の中で待つか聞かれたが外で待つことにした。
15分経った頃翔が帰ってきた。
気まづそうな顔をしながら僕の前を通った。
「翔!まって!ちゃんと話がしたいの」
僕は思い切って声を出した。
「分かった。いつもの公園でいい?」
そう言いながら2人で並んで歩いた。
久しぶりの感覚でなんだか涙が出そうになった。
「翔。ごめん。僕にとって翔は大事な人。大好きな人。話せなかった時間が苦しかった。嫌だった。だけど、翔と付き合うことは出来ない。先生にね、言われたんだ。自分の気持ちに正直になりなさいって。」
「そっか、けどいっくんの気持ちは分かってたよ。だけど……俺もケジメをつけたかったんだごめんね。」
翔は少し泣いてるように見えた。
「翔。僕を好きになってくれてありがとう。僕、翔みたいな人に好きになってもらえて嬉しい。」
「いっくん……ずるいよ……。これからもそばにいさせて。」
それから2人で並んで歩いて家に向かって歩いていた。
お互いの家に入ろうとした時翔が言った。
「いっくんも自分の気持ちに素直になって先生に告白しな!俺はいっくんが幸せなら幸せだよ?じゃ!明日!」
僕はその一言で気がついた。
先生の大きな手、先生の声、先生の優しさ。
全部全部好きになってたんだって。
気がついたらポケットに入っていた紙を取り出し書いてある電話番号を打っていた。
鳴り止まない心臓と電話のコール音が僕の中に響いている。
「はーい。城沼ですが……ん?もしかして円か?」
「あ、はい。先生ごめんなさい。」
「びっくりしたよ、どうした?なんかあったのか?」
「えっとちゃんと自分の気持ちに素直になりました。」
「そうかそうか!良かった良かった!」
「翔に背中を押されたんです。素直になったら伝えたくなりました。僕先生が好きです。」
「……。」
先生からはなんの返答も無かった。
時が流れるのが遅く感じた。
僕は怖くなって電話を切った。
一方的に好きだなんて言って、勝手に電話切ってどんな顔で合えばいいんだろう。
不安になりながら眠りについた。
〜次の日〜
「いっくんおはよ〜」
いつもの翔に戻っていた。
「良かったぁ〜2人仲直りしないのかと思って私焦っちゃったよ〜失恋したばっかなのに〜」
羽咲ちゃんはまだ少し先生のこと好きみたい。
「おいやめろよ俺も絶賛失恋だよ〜」
「え?かーくんだれ?!ねぇ!だれよ〜!」
ちょうど始業のチャイムがなった
「おはよ〜ございます。出席とるぞ〜」
なんだか少し眠そうな先生だ。
昨日のことを思い出して1人少し怖かった。
「円〜円〜いたら返事しろ円〜」
「いっくん呼ばれてるよ」
翔が教えてくれた。
「あ、はい!」
なんだかいつもと変わらなくて僕だけが意識していたみたいだ恥ずかしくなった。
今日は最悪なことに月曜日だ。
城沼先生の授業がある。
今日もバスケをするらしい。
みんなバスケ好きだなぁ〜って思いながら座っていると。
「いっくんなんかあった?元気ないよ」
「翔。なんでわかるの?」
「これだけ一緒にいたら分かるでしょ。好きな人だしね、」
いたずらそうな顔で笑う。
「先生のこと??」
追い打ちをかけるかのように聞いてきた。
「うん。」
そういった時。
「おーい!かーけーるー参加しないのかー?」
クラスメイトに呼ばれてる。
「行かなくていいの?」
「今はいっくんのが大事。心配だし。」
「ごめーん今日は見てるわ!がんばれー」
「やっぱ翔ってやさしいね。」
今まで先生とあったことを全部話した。
「なんであんなおっさんに俺が負けるんだよ。くやしい。」
「おっさんって、まだ22歳だよ?」
翔の唐突なおっさんに笑ってしまった。
「良かった少しは元気出てくれたみたいで、俺はいっくんの笑顔が1番好きだよ!」
そう言いながら翔はコートに戻って行った。
その後の僕はと言うとバスケをしている先生を自然と目で追いかけていた。
なんでこんな叶わない恋ばっかなんだろう。
僕って幸せになれないのかな。
そんなことを考えていた。
何も無く時はすぎて12月に入っていた。
どんどん外は寒くなり吐く息が白くなっていた。
あと、少しで冬休みか……何も変わらずに冬休みが訪れようとしていた。
「いっくん。あれからどーなの?」
翔はよく先生とのことを聞いてくるようになった。
「なにもないよ。羽咲ちゃんまだ好きみたいだし、僕は羽咲ちゃんに幸せになって欲しい!」
「ふーんそっか。」
「なになにー?2人で何の話ー?」
「いっくんが羽咲に幸せになって欲しいってさぁ〜!よかったな!」
「え!苺恋やっぱ苺恋はかわいいだいすき!」
「えへへ〜」
今日も僕はいっくんと羽咲ちゃんに甘やかされている。
そんなこんなで一日がすぎ。
翔の待ち時間暖かい教室でいつの間にかうたた寝をしていた。
ガラガラ
あ、誰か入ってきた。
誰だろ。
そう思いながらも眠気が勝っておき上がれなかった。
大きな手で頭を撫でられて一瞬で誰かわかった。
先生だ。
飛び跳ねそうになったが寝たフリをしようと思い寝たフリをしていた。
「いちご。俺もお前がすきだ。けど、教師と生徒。男と男。どうしたらいいかわからん。こんなのでごめんな。」
そう言って僕にスーツの上着をかけてくれた。
僕には大きすぎて裾が床につきそうだった。
気がついたらまた僕は眠っていたらしい。
「いっくんこんなとこで寝てたら風邪ひくよ!あ、先生が上着置いて帰っていいって」
「あ、翔。お疲れ様〜」
「ほらいっくんもう帰るよ〜」
そう言われてもさっきの事で頭がいっぱいだ。
僕が女の子で生徒じゃなかったら……そんなことを考えながら帰った。
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