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第4話
〜放課後〜
「羽咲ちゃん。話したいことがあるんだ。」
「苺恋からの話なんて初めてだね。なんでも聞くよ!」
そう明るく返してくれた。
クラスメイトが帰り教室には僕と羽咲ちゃん2人だけになった。
僕は深く深呼吸をして声に出した。
「僕、先生が好き。城沼先生が好きなんだ。」
羽咲ちゃんは一瞬固まった。
「ごめんなさい。ずっと黙ってて、でも嘘は吐きたくないと思って話を聞いて欲しかった。」
「苺恋。大丈夫だよ!私はもう吹っ切れた!けど、もう少し早かったら強敵だったな……応援するね。」
羽咲ちゃんは少し辛そうな顔をしながらそう言って教室を出ていった。
ぼんやりと部活をしているグラウンドを眺めていた。
「円。大丈夫か?平気か?」
先生が心配して話に来てくれた。
「大丈夫です。城沼先生があの日たまたま僕を見つけてくれて嬉しかったです。ありがとうございます。」
「そっか、良かったよ。」
「あの……先生。前に僕にスーツの上着をかけてくれた日、僕実は起きてました。僕……先生が好きです。」
先生はびっくりした顔をしたかと思うと微笑んで僕の頭を撫でてくれた。
昨日の男とは違う。大きくて優しくて大好きな手だ。
「俺は教師だ、けど、それと同時に俺は男だ。円を初めて見た時俺の中で初めての感情を経験した。俺も円が好きだよ。」
僕は驚きと嬉しさでどう反応していいか分からなくなった。
「なんだ、お前から告白してきたのになんでそんなきょとんとしてるんだよ。」
先生は僕の頭を撫でながら笑っていた。
それから時が経ち終業式の日になった。
明日から冬休みだ。
「えー、冬休みの宿題は始業式の日に回収します。くれぐれも羽目を外さないように。冬休みを楽しんで。」
「いっくん!明日から冬休みだ!!クリスマスに正月……お年玉!!」
翔は子供のようにはしゃいでいる。
「翔!ちゃんと宿題するんだよ!苺恋もわかんなかったら教えるからきいてね!」
羽咲ちゃんは親みたいに僕たちに言った。
なんだか面白くて笑っていた。
「あ、円。後で先生のとこに来てくれ、少し用事がある」
城沼先生に言われた。
びっくりしたがこの後会えると思うと幸せだなぁあと思った。
翔と羽咲ちゃんはニヤニヤしながら僕を見ていた。
好きだと言い合った日から何も無くて付き合っているのかすらわからない状態だったけどそれもそれで幸せだなぁと思っている。
「翔、先帰ってていいよ!」
「いや、いいよ待ってる。」
翔はあの日から僕への過保護が強くなった気がする。
翔は後悔しているみたいだが、僕はあまり思いつめないで欲しいなと思う。
〜職員室〜
「失礼します。円です。城沼先生……」
「おー、入って入って!」
先生の教卓までいく。
「先生用ってなんですか?」
そう聞くと先生はLI〇NのQRコードを出てきた。
びっくりしたが嬉しくなった。
「他の先生にも生徒にも内緒な。後で連絡するよ」
先生はひそひそ声で僕に行ってきた。
翔と下校して家に着いてご飯を食べてお風呂に入ったが一向に連絡が来ない。
寂しいなぁそう思って携帯をみていた時。
ピコンと携帯がなった。
僕はすぐさま確認した。
先生からだった
(おつかれさま!冬休みだなぁ)
先生からのLI〇Nは新鮮でなんだか心がきゅーっとなった。
(そうですね!先生は何するんですか?)
すぐ返信をしてしまって恥ずかしくなった。
(お、もしかして俺からの連絡待ってた?)
(待ってなかったは嘘になります笑)
(素直でかわいいな。明日のクリスマスイブ空いてるか?)
そっか、明日クリスマスイブか、確か家族で過ごすのは25日当日のはずだ。
(空いてます。)
胸がドキドキ言いながら一言だけ返した。
(明日迎えに行くからデートしよう)
絵文字も何もつかないLINEに笑いながら明日が楽しみで仕方なくなっていた。
〜クリスマスイブ当日〜
どんな格好をして行こうか迷っていると携帯が鳴った。
(家の前着いたぞ。チャイム鳴らすのはまずいなと思って……)
ふふっと微笑みながらすぐ出ますとだけ返した。
とりあえずお気に入りの服を着て飛び出した。
ドアを開けると先生が立っていた。
先生の私服初めてだ。
先生は黒のロングコートにぴちっとしたズボン。
大人って感じの服装で恥ずかしくなった。
「私服もかわいいな。」
「先生も私服かっこいいです……」
照れながら言うと先生は頭を撫でてきた。
「よし、行こっか」
先生は僕の手を握って歩き出した。どこに行くんだろう。
「今日は俺の家でパーティーだよ」
「え?先生エスパーですか?なんで考えてたことわかるんですか?」
「声出てたぞ!」
先生は笑っていた。
好きな人と2人で過ごすなんて初めてだった。
先生の家まではあっという間でその時間も幸せだった。
先生の家は広くてソファがおっきくて黒で統一されててかっこよかった。
「うわぁ!すごい!先生の家かっこいいです!」
「そんなに目をキラキラされて言われるとなんだか恥ずかしいな。」
先生は頭をかきながら笑っていた。
「あ、あと、円、先生呼びはここでは禁止な?」
「え。」
先生からのいきなりの言葉に僕は固まってしまった。
「しょうご!はい、呼んでみて?」
先生がしゃがんで僕の顔を覗き込んでくる。
恥ずかしくておかしくなりそうだった。
「しょ……しょう……ご……さん!」
慣れなくて自分だけ名前呼びなんて嫌だ
「よしよし偉いぞ苺恋」
翔吾さんから不意に名前を呼ばれて胸が跳ねた。
嬉しくてニヤニヤしてると先生が抱きしめてきた。
幸せだなぁ。
それから翔吾さんとご飯を食べて映画を見ていた。
時間はあっという間だった。
「そろそろ遅い時間だな送っていくよ」
翔吾さんはそう言ってくれたが僕はまだ帰りたくなかった。
一緒にいたかった。
「今帰りたくないなーって思ってるだろ!わかりやすすぎるぞ!本当に苺恋はかわいいなぁ」
そう言いながらほっぺを掴んでくる。
「だって、帰りたくないもん。もっと一緒にいたいもん。」
駄々をこねてしまった事に恥ずかしくなって帰ろうとした。
「まって、苺恋。ちゃんと言ってなかったなと思って……」
先生は大きく息を吸った。
「俺と付き合ってください。」
翔吾さんはポケットからなにかを取り出した。
ネックレスだ。
翔吾さんが僕の首にネックレスをかけてくれた。
きらきらひかるネックレスは宝石みたいで嬉しかった。
「はい。翔吾さん!」
先生の胸元に僕のと同じネックレスがみえた。なんだかむずがゆくなった笑
家に帰ってからもずっとネックレスを見ていた。
こんなに幸せだった日はなかったと思う。
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