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第6話

「ん?苺恋寝たのか?それとも拗ねてる?」 翔吾さんがイタズラそうに言ってきた。 ベットから少しだけ顔を出した。 翔吾さんは肩からタオルをかけズボンしか履いてなかった。 濡れた髪、鍛えられた体僕はいけない妄想をしてしまって顔を隠した。 「かわいいなぁ何その反応。エッチなことでもかんがえた?」 またからかってきた。 もう今日は許さない。 そう決めた。 「苺恋…俺の大好きな苺恋くんはどこに行ったのかな〜?」 翔吾さんはずるい。 名前を呼ばれるだけで僕は胸がドキドキする。 もっと呼ばれたい。 大好きって言われたい。 許さないって決めたのにすぐダメになる。 「うぅ〜。」 そう言いながら僕は顔を出した。 「お、いたいた、エッチなこと考えたの?笑 言わなかったら今日は俺ソファで寝るよ?」 やっぱりずるい。 僕は小さく頷いた。 翔吾さんは少し嬉しそうに布団を取ってきて僕に覆い被さるように乗ってきた。 恥ずかしくなって顔を隠そうとしたが翔吾さんの大きな手で剥がされてしまった。 身長156cmの僕と183cmの先生の力では負ける。 「かわいいなぁ。大事にしたかったんだけど……苺恋お前が俺を挑発するからいけないんだぞ。してもいいか?」 いつも余裕のある翔吾さんからは余裕が消えていた。 僕は少し怖かったが翔吾さんならいいと身を任せた。 翔吾さんと肌が合わさるそれだけで僕は気持ちよかった。 あの日の気持ち悪さや恐怖なんてどこにもなかった。 翔吾さんの熱い吐息が僕の耳を暖める。 翔吾さんの大きな手が僕の体の線をなぞる。 僕は翔吾さんと一体になった。 翔吾さんの大きなあそこも好きだと思った。 翔吾さんの余裕ない顔も全て好きだった。 この行為がこんなにも幸せで愛おしくて気持ちいいものだと初めて知った。 翔吾さんの胸の中で眠ろうとした時翔吾さんは言った。 僕を見た時初めてこんなにも繊細で綺麗で手に入れたいと思ったことはなかった。 羽咲ちゃんや正樹くんから逃げたあの日幻じゃないかと思ったこと。 僕が汚されて見つけたのが俺でよかったと思ったこと。 電話で僕に好きとだけ言われ切られてどうすればいいのか分からなくなったこと。 気がついたら眠っていた僕にすきだと言っていたこと。最後に 「これからも俺は苺恋お前と一緒にいたい」 そう言ってくれて僕は幸せすぎておかしくなりそうだった。 僕は翔吾さんの大きな胸の中で眠りについた。 朝起きて腰が少しいたんだが夜の事を思い出してニヤけてしまった。 僕の方が翔吾さんより起きるのが早かったので朝食を作ってビックリさせようとしたが今まで料理と言うものは翔吾さんの手伝いくらいでまともにしたこともなかった。 目玉焼きは少し焦げ、パンさえ上手く焼けなかった。 「しょ…うご……さん!起きて!朝だよ〜」 眠そうな目をこすって翔吾さんは僕を抱きしめてきた。 「おはよう。苺恋がいるの夢かと思った… 苺恋好きだよ。大好き。愛してる。」 「ふふ。翔吾さん夢じゃないよ!ご飯失敗しちゃったけど作ったから食べよ?」 その一言で翔吾さんは飛び起きた。 ご飯を目の前にした子犬みたいだった。 翔吾さんは少し焦げた目玉焼きを美味しいと褒めてくれて全部食べてくれた。 こんな日々がずっと続けばいいな。 そう思っていた。 年が明けて学校が始まった。 新学期だ。 翔と羽咲ちゃんとは終業式以来LI〇N以外で会話はしていなかったがいつもどうりだった。 「いっくん。どーしよ俺課題終わってないよ……」 青ざめた顔で翔が助けを求めてくる。 「仕方ないなぁうつしな」 僕は差し出した。 あ、そろそろ朝礼だ。 翔吾さんと会える。 「なにいっくんニヤニヤしてるのー?珍しいねネックレス」 翔が聞いてきた。 まだ誰にも翔吾さんと付き合ったことは話していなかった。 そろそろ言おうかなと思った時、翔吾さんがドアを開けて教室に入ってきた。 「あ、しょ……先生おはようございます!」 危ないもう少しで翔吾さんと呼ぶところだった。 翔吾さんは悪い顔をしながら笑っていた。 「円、おはよう。席につけ〜出席とるぞ〜」 僕は顔を赤めながら席に着いた。 そんなやり取りを見ていた翔は察しがついたみたいだ、 変なところだけ感がいい。 朝礼が終わり1時間目に移動している時翔に聞かれた。 「で、好きな人とは付き合えたんですか〜?笑 先生も同じネックレス付けて俺、嫉妬しちゃうなぁ〜」 イタズラそうに言ってきた。 「うん。付き合えたよ。羽咲ちゃんにも言わなきゃなとは思ってるんだけど…」 「あ、羽咲ちゃんには言わない方がいいと思う……本当はまだ未練あるみたいだから……」 翔に止められたので今は言うのを辞めておこうと決意した。 それからというもの最近羽咲ちゃんに避けられている気がしていた。 あまり翔とも居ないみたいだ。 僕のせいなのかな。 やっぱり僕は幸せになっちゃいけないのかな。 翔吾さんを好きにならない方が良かったのかもしれない。 そんなことを思ってしまっている自分が嫌になった。 きちんと羽咲ちゃんと話をしようと思い羽咲ちゃんに話しかけた。 「羽咲ちゃん。最近僕のこと避けてる……?もし、避けてるのなら謝りたい。」 「なんのこと?そうやっていつでもいいように生きて苺恋は幸せだよね。本当は私が振られた時ざまぁとか思ってたんでしょ?」 「ちが……う。思ってない。ごめんね。本当にごめんなさい。」 涙が溢れていた。 「そうやって泣けば済むと思ってるんでしょ。苺恋はいいよね、そんな可愛い顔に身長、声。人生そう上手くいかないこと覚えてた方がいいよ」 そう言って羽咲ちゃんは行ってしまった。 前みたいにもう戻れないのかもしれない。 そう思うと苦しくて悲しくて寂しくて涙が止まらなくなった。 翔はあまり気にしなくていいよと言ってくれたがそうはいかない。 あっという間に1週間がすぎ、翔吾さんに会える土曜日がきた。 気持ちはまだモヤモヤしているけど翔吾さんに会えるのは嬉しかった。 ピンポーン 翔吾さんがドアを開けて出てきたと思ったその瞬間 「あ、苺恋か、すまん今日は帰ってくれ。」 とだけ言葉を残してドアを閉めてしまった。 僕は何が起こったのか分からずドアの前に立ち尽くしていた。 なんで?僕嫌われちゃったのかな?羽咲ちゃんにも嫌われちゃったし。 僕はどうすればいいの。 何もかも分からなくなってひとりでいると嫌なことを考えてしまいそうで翔の家に行った。 翔は玄関を開けてすぐ泣いている僕を抱きしめてくれた。いつだって翔はやさしい。 翔に抱き抱えながらあったことを全て話した。 翔は「あいつ……」と怒りが爆発しているようだった。 「ねぇ、いっくん。やっぱりあんな奴やめて俺にしなよ。俺は絶対泣かせないし幸せにするし、だめ?」 僕はこんなにも翔吾さんの事が好きなのになぜか少し揺らいでしまった。 そのまま翔は僕にキスをした。 僕は不思議と嫌じゃなかった。 翔は僕を優しくベッドに押し倒した。 翔のこんな顔初めて見た。 翔は僕の頭を優しく撫でながら長くて深いキスをした。 翔とするのは翔吾さんと違って優しくて、でも、翔吾さんとしたあの幸せはなかった。

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