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犬 9
嫌だ 嫌だと言っているのに、レースパンツを脱がされ精液でドロドロになってるそこを咥えられた。
バイト上がりで風呂にも入っていないのに。
「パンツも履かないで履いてるのかよ!!」
男が怒ったが、レースパンツはそういうものなのだ。
サドルで尻や性器が痛くならないように尻や前にパッドが入っているのだ。
自転車乗りなら常識だ。
ヤラシイものみたいに言うな。
そう言いたかったが言えない。
気持ちよすぎて。
デカい口に飲み込まれ、熱い舌で舐められ、分厚い唇に扱かれる。
サイクルジャージもアンダーシャツも脱がされていた。
誰の家かもわからないベッドに横たえられ、脚を開かれ、獣に性器を貪られていた。
男も服を脱ぎ捨てて、生きながら燃やされているような身体を晒してる。
その目は身体に描かれた焔よりもえている。
目を赤赤と燃やして、凶暴な顔で股間の性器を喰らう男は獣以外の何ものでもなかった。
男は怒っているのだ。
責めは苛烈だった。
でも、しゃぶられて、先を舐められて、扱かれてるのに、イケない。
バキバキで、ぬれまくってるのに、いけない。
でも、射精はしてないのに中では軽くイってる。
尻の中が痙攣して、腹の奥が溶けてる。
触られるてんのはちんぽなのに。
ヒンヒン泣いた。
射精したいのもあったけど、それ以上に穴の中にぶち込んで欲しかったのだ。
射精もできないのにそこを責められる位なら、奥まで突かれて、頭ん中まで真っ白にして欲しかった。
「挿れて欲しいか?」
見透かしたように男が言う。
男が穴を指でなぞった。
でも入れてくれない。
指でもいいのに。
いつも指だけでもしてくれたのに。
声を唇で塞いで。
優しくイカせてくれるのに。
泣いてしまう。
言っとくが、俺がこんなんになるのはコイツとのセックスの時にだけだからな。
悔しくて涙が零れる。
不意に燃え上がっていた男の目の光がきえて、代わりに困惑が満ちる。
見えない耳が垂れて、困った顔になる。
鬼みたいな顔で、イケない俺を責め立てていたくせに。
でも気を取り直したように、唸る。
びくつく穴を焦らすように撫でだした。
「女じゃここは可愛がってくれねぇよ。たまにはそんな女もいるかもしれねぇが、俺みたいにホンモノのちんぽで奥まで可愛がってやれんのはいねぇ。男にだっていねぇ。意識飛ぶまでしてやれんのは俺だけだぜ?」
優しくなでる指を欲しがって、穴が自分から口を空けているのがわかる。
俺はカエルみたいに脚を開かされて、性器をガチガチに立ててその先からぬれまくって、穴をひくつかせて、女みたいに尻を振って欲しがっていた。
それを嫌になる程自覚した。
だから飛び上がって男を殴った。
思い切り拳で。
「クソが!!!バカ、死ね、カスが!!お前だからこんな風になってんだろ!!ここまでさせといて、今更女なんか抱くか!!!」
俺はガチギレして叫んだ。
ああ、気持ちいい。
気持ちいい。
コイツとすんのはめちゃくちゃ気持ちいいよ、どうかしてるほど。
でも。
女みたいに鳴かされるのは俺のプライドに関わるんだよ。
俺はゲイじゃない。
そこはどっかで抵抗あんだよ。
でも、そうしてんは、お前だからいいかってのかあるんだよ。
こんだけ好きでいてくれるお前だからいいかってのが。
「女だろうが男だろうが、他のやつにこんなことさせるかよ!!ボケが!!」
俺の相手は猛獣なので、気にすることなくもう1発殴った。
人間相手にならこんなことはしないが、コイツは別だ。
他人も乗ってる自動車の中で俺をイカせるような獣だからな、このボケは。
男は避けなかった。
でも、岩やデカい樹を殴ったような感触しかしない。
強靭な首の筋肉のせいで、殴られた衝撃が流さることがいのだ。
男は座ったまま、しょぼんとしていた。
裸で、巨悪なちんぽ をおったてて。
見えない耳と尻尾はたれさがっていたし、目がめちゃくちゃ揺れていた。
妹の人形をぐちゃぐちゃにした時の犬と同じ目だ。
「お前を怒らすつもりはなかった。やりすぎたんだな」
そういう目だ。
男が勃起してんのが笑えたが、俺も勃起しながら立ち上がり男を見下ろしてんだから笑えるよな。
「・・・嘘じゃないんだ。誰かが自殺してて、そこに幼なじみの女の子がいたんだ」
俺は怒ったものの、自分にも非があると思った。
コイツが嫉妬するから、情報を隠したのは俺だ。
座って男の首に腕をまわして抱きつく。
男が低く唸ったが、怒っている声ではなかった。
「悪い。子どもの頃好きだった子だったから、言いにくかったんだ。悪い。でも、本当に何もない。多分死んだのは彼女の恋人だ。泣いて叫んでる彼女がおかしなことをしないように抱きとめていただけだ」
俺は正直に言った。
男の硬い髪を撫でながら。
「心配するな。こんな女みたいにされてんのもお前だからだ。お前じゃなきゃしない。誰にもさせない」
それは心からの言葉だった。
俺は快楽に弱いし、流されまくってるけど、でもそれはお前だからだ。
他の誰かにこんなことをさせたりしない。
させる前に殺すに決まってんだろ。
「俺だけ?」
男の深い声はどうしてこんなに身体に響くんだろう。
「おまえだけ」
俺は言い聞かせる。
「お前が俺の相棒だ。最後のな」
それを約束してやる。
最初じゃない。
でも最後にはしてやれる。
男は黙って俺を抱き締めた。
しっかりと、
でも壊さないように。
「・・・挿れてくれよ。ずっと欲しかったんだ」
俺は本気で強請った。
この男よりも。
俺がこの男を欲しがっているのかもしれない。
この男しかだめだった。
俺だけを欲しがる男に腹の底まで犯されたかった。
獣が唸った。
そして、俺はまたベッドに押し倒された。
「自分から言ったんだからな!!知らねぇぞ!!」
叫びながら男は、俺の脚を肩に担ぎ、やっとのことで思い出したかのようにベッドサイドのローションの、瓶で自分の性器をたっぷり濡らした。
そのばかりのデカい性器を俺は期待に満ちた目で見てたんだろう。
「そんな目すんな、壊しちまう」
男が唸った。
耐えるみたいに。
乱暴に、穴に突き立てられた。
俺は叫んだ。
それは、欲しかったものを与えられた、飢えた餓鬼がする声だったのだと思う。
だって、誰よりも。
俺が。
俺が。
こうされたかったから。
ずっと。
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