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番外 内藤くんとドクター 2
「自殺現場?警察?」
内藤くんはもう驚かない。
血の気の多い考え無しのガキに付き合って、いろいろ巻き込まれてきたのだ。
内藤くんこそ、巻き添えのプロ。
あのガキを見捨てないのが聖人である内藤くんらしい。
内藤くんに手伝ってもらって、自転車の車輪をはめて、室内のスタンドに自転車をかける。
内藤くんが、雑巾を持ってきて、綺麗に自転車のタイヤからフレームまでを拭きあげる。
内藤くんの自転車も、玄関の縦形のスタンドに立てかけてある。
ガキと内藤くんは自転車が趣味なのだ。
内藤くんのためになら、オーダメイドの自転車をいくらでも注文してあげるのに。
バイトが終わって一度、家に帰っていたから(スケジュールは全部知っている。バイト先のシフト表を入手している)、サイクルジャージ姿じゃないけど、そのハーフパンツの下に、レースパンツをノーパンで、履いてるの?
あのパンツの下が、ノーパンだと知っていらい(ガキから聞いた)いやらしい目でしか見えない。
ガキに言ったら殺されるだろうが。
「そう、またトラブルに巻き込まれちゃったみたいでね」
オレはオレの話を聞いてくれる内藤くんに興奮が止まらない。
ダメだ。
話を聞かせる状態にさえ持っていけば、誰だってオレの思いのままに出来るはずなのに、上手くいかない。
上擦って話して、何コレ?
オレじゃない。
「なんで帰ってこないんだ?警察との話は終わったんだよね?」
内藤くんが、眉をひそめて、胸がドキドキする。
写真とりたい。
その顔だけでイける。
「あの男が不安になっちゃってね、ほら、誰にでも優しから、クソガ、キ、いや、彼は。だから、あの男を落ち着かせるために、ね、ここじゃ、思い切り声出せないからね、今晩は帰ってこないよ」
性的な匂いを、滲ませて語る。
親友の性事情に内藤くんは真っ赤になる。
かわいい。
内藤くんは潔癖なのだ。
オナニーだってそんなにしてないはすだ。
どうしようもなくなって触って出す位だろう。
そんな内藤くんを、ヒンヒン鳴かせたい。
押し倒して、口移しで薬飲ませて、薬が効くまで乳首や性器を弄りまくっていかせて。
薬が効いたなら、全身ドロドロになるまで可愛がってるんだ。
愛が伝わって、オレから離れられなくなるように。
そう思うのに身体が動かない。
何?
なんで?
内藤くんの乳首舐めたいのに。
自転車をきちんとセットした内藤くんはオレを見上げた。
「手伝ってくれてありがとう」
少し掠れた内藤くんの声が言った。
頭が真っ白になった。
射精したのかと思った。
違う。
まだ勃起はしてない。
まだ。
でも、なにかが、起こったオレの脳内で。
「ど、どういたしまして」
どもりながら答える声が、やはり自分のものとはおもえない。
内藤くんにお礼を言われて。
オレの脳は脳内麻薬を出したのだ。
それだけで。
凄まじい幸福感。
クスリよりヤバい。
「帰ったら?オレは2人が帰ってくるまで待つけど」
内藤くんは冷たい。
でも、それがいい。
「いや、オレもアイツに鍵返してもらわないといけないから」
モニョモニョ言う。
ご勝手に、と内藤くんは肩をすくめて、部屋の隅でスマホを弄りはじめた。
オレなどいないように。
オレは少し離れたところに座り、オレも携帯をいじるフリをして、内藤くんを隠れ見るしかなかった。
あ、 内藤くんと同じ空気吸ってる。
幸せ。
何時間もすぎた。
違う!!
違うだろ!!
オレは心の中で叫ぶ。
内藤くんを押し倒し、オレのもんでイカせまくって、身体から落とすんだろうが。
何してんだ!!
あの綺麗な乳首を勘で舐めて、吸って、内藤くんに「やだ、乳首なんかでイキたくない」と言わせてやるんだろうが。
それを無理やりイカせて、気持ちいいことを教え込むんだろうが。
オレは意を決して立ち上がった。
泣かすかもしれないけど、許してくれ、内藤くん。
一生愛すると誓うから。
ガチガチに勃起してて、たまんなかった。
武闘派ではないけれど、内藤くん相手ならオレでも余裕で抑え込める。
ちゃんと気持ちよくする、から、ね?
オレは内藤くんの前に立った。
押し倒すために。
興奮で息が荒い。
だが。
内藤くんは寝てた。
クークー、無防備に。
こてん、内藤くんは転がった。
でも目を覚まさない。
内藤くん、内藤くん、なんで寝るの?
オレ、内藤くんを狙い続けてるの、知ってるでしょう!!
無防備すぎる!!
内藤くんの寝顔は綺麗で可愛くて。
まつ毛長くて。
唇薄くて。
キスしたかった。
しようとした。
なんなら、寝てるんだから、色々しちゃえと思った。
綺麗な乳首を味わうチャンスだ!!
だが、オレに出来たのは、ここの貧乏くさい家の押し入れから毛布をとりだし、まるまって寝ている内藤くんにかけることだけだった。
寝顔を見て、やりたくて、犯したくて、触りたくて。
後ろから羽交い締めにして、犯したくて。
肩に脚を担いで犯したくて。
寝バックで、一番奥までガン掘りしてやりたくて。
でも出来なくて。
寝顔を見続けていた、
勃起していたのに、実物をオカズにオナニーすることさえ出来なかった。
「内藤くん、内藤くん、好き」
そう囁くのが精一杯だったという・・・。
泣いた。
好きすぎて泣いた。
なんで好きなんだろう。
でも、好き。
内藤くん。
地獄のようで天国な。
欲しいのに何もなかった出来ない。
胸が苦しくて仕方ない。
内藤くん、内藤くんじゃないと癒せない。
オレは。
どうなってしまったんだろう、内藤くん。
もう、わけがわからなかった。
オレは静かに泣き続けた。
内藤くんが目を覚まさないように
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