44 / 118
悪魔 14
「静かな部屋でそのCDをヘッドホンをで聴くんだ。それだけで、めちゃくちゃキマるって話。LSDや覚醒剤とは比べ物にならない幻覚と、ヘロインみたいな多幸感。音楽を聴くだけでそうなる。だから、クリーンなんだ、そんなCDの存在はずっとウワサになってる」
ドクターが内藤に説明する。
内藤が自分を見つめてお話しを聞いてくるくれるだけで、もう幸せ過ぎて死にそうになってる。
ドクターには内藤が1番の麻薬なのは間違いない。
「今時CD?」
内藤は不思議そうにいう。
「噂は俺の親の頃から流れてるからな。なんでカウントCDとよばれているのかもわからねーんだ。だがずっと噂されてて、消えることはない」
クスリよりもぶっ飛ぶCDがある。
スゴいらしい。
音楽だけで、めちゃくちゃイけるらしい。
最初はCDではなく、レコードだったらしい。
ロックだった。
いや、クラシックだった。
人の歌声だった。
何一つちゃんとした情報はないままの、都市伝説だ。
「そのCDを俺が持ってるということにしたら?」
少なくとも、身体には害のない音楽をつかった新しい「麻薬」。
ユウタには興味があるはずだ。
むしろ、ユウタにこそ、これは必要なはずだ。
綺麗な身体で売りたいはずだから。
子供達を。
「本当にはそんなモノないんだ?」
内藤が安心したように言う。
「わからない」
俺は正直に言う。
そこは他の都市伝説と違っていて。
だからこそ利用できる話だと思ったんだが。
「どういうこと?」
内藤。
「かなり近い感じのものが無いわけではないんだよ。内藤くん。音楽や催眠術やセックスを複合的につかえば、とんでもない快楽に引きずり込めることは可能だしね。誰にでも聞くとは限らないけれど暗示と音楽だけで、かなり深いところまで潜れる可能性はある」
さすがにドクター。
良く知ってる。
「使ったことがある」
また聞きではない噂があるのがこの話の特徴なんだ。
「内藤くん、・・・興味ない?・・・その【音楽】かけて、オレに抱かれてみない?スゴい気持ちいいらしいよ?」
最低の口説き文句をドクターが内藤に言ってて、こんな最低な口説き文句を言ってしまうくらい、一流詐欺師が内藤にダメになってんだな、と悲しくさえ思ったが、内藤には単なるセクハラでしかない。
「最悪、喋らないでくれる?」
嫌悪に顔を歪められ、ドクターが凹むだけ凹む。
「ドクター、ユウタはその音楽やセックスを複合的に使って快楽をえられる【タイプ】だよな」
俺は思いつく。
「ああ、そうだな。快楽に肯定的だし、何よりそんなモノがあると信じたいだろうからな。暗示ってのは信じたいモノを信じさせてやることでもあるからな」
ドクターが気を取り直して言う。
「カウントCDを信じさせて。取引をする。そこからだ」
俺は決めた。
架空の音楽麻薬「カウントCD」それを使ってユウタを嵌める。
踊らせて、人身売買の証拠を掴んで。
ユウタを【人身売買】を終わらせる。
その後のユウタの身柄はナツに渡す。
さて。
後は。
どうやっていくか、だ。
ともだちにシェアしよう!