45 / 118
悪魔 15
男が服を脱がせるのも、脱がせながら俺の身体をまさぐるのも、好きにさせていた。
不安がっているのが分かっていたから。
男にしてみれば頑張ったのだ。
車の中で内藤やドクターに構わずに俺を犯したくてたまらなかっただろうから。
抱いて俺を独占して安心したかっただろうに。
でも、しなかった。
ちゃんとドクターが内藤を送って、それからホテルまで俺達を届けるのを待った。
セックスして安心させてやらないといけないのはわかってた。
「良い子だ、我慢できた、エラい」
俺は誉めてやった。
唸り声をあげられ、首筋を何度も舐められ、噛まれ、乳首にむしゃぶりつかれた。
そこを噛まれたり舐められたりすんのが、俺はもう好きになってるから、喜んで声をあげた。
ここは家じゃないからな。
エレベーターから身体を触ったりはしてきたけれど、ベッドまでは我慢したからさらにエライ。
すぐに尖るそこを齧られた。
鋭い歯が、欲しがり、でも、傷つけないように乳首を噛むのは堪らなく甘い。
じっくり噛まれて、舐められ吸われるのは腰が揺れちゃうくらい、いい。
「みんなお前を欲しがる」
男が唸る。
悔しそうに。
自分だけのモノだとでもいうように、乳首を舐め、吸う。
「ああっ・・・いいっ!!好き、コレ・・・」
俺はもっとして欲しくて男の頭を抱え込んでしまう。
俺はもう。
ここだけでイカされるのも大好きなんですよ、ええ。
まさか自分の身体がここまでのエロエロボディになるとは思ってなかったんですが、そうなんで仕方ない。
「あの通りのガキ共も、電話のヤツも、内藤も、ナツも、みんなお前を欲しがる」
男はくるしげに言った。
指で摘んで乳首を潰されるのも好き。
そうされながら、もう片方の乳首を舌と歯でいじめられるのもっと好き。
性器が立ち上がって、トロトロ濡れてるのを男の分厚い身体に挟まれて、擦られるのも堪らない。
熱くて痛くて気持ちいい。
乳首自体で射精が出来そう。
コリコリしてきたのを虐められる度、なんかが溢れ出しちゃう。
こんなの気持ちよすぎる。
「あっ出るっ!!」
俺は腰を反射的に突き上げた。
つよく噛まれて、俺は乳首だけでイった。
「俺だけだろ?なぁ、こんなにしてやれるのは俺だけだろ?」
男の声は必死だ。
また乳首を舐め始める。
飢えた獣みたいに。
俺は男の頭にキスしてやった。
不安がってる。
安心させてやらないと。
「お前だけだ。大丈夫だ。誰のとこにもいかない。怖がるな」
宥めてやる。
安心させてやりたい。
怖がっているのはこの獣だからだ。
「してやる、ほら寝ころべ」
俺は男の身体を押した。
男は大人しくしたがう。
まだ服を着たままの男の服を俺剥いでいく。
俺と暮らし出してからは俺と同じような服装をしてる。
Tシャツ、ハーフバンツとか、ジーンズとか。
今日はハーフパンツだ。
どこに隠れていたんだろう。
ドクターはともかく、この巨体の目立つ男が俺や内藤の近くに隠れていたのは間違いないないがまったくわからなかった。
可愛い、俺の男。
分厚い褐色の肌の身体と、半身を焼くようなタトゥー。
ハーフパンツを下着ごと脱がしたなら、デカいペニスが巨悪に反り立っていた。
コレが俺の中に入ってるのが未だに信じられないんだが、コレを受けいれるためにそうとう時間をかけて拡張されたので間違いない。
ペニスにまでタトゥーが入ってて、コイツホントにどうかしてる、とは思う。
だけど、これは俺の可愛い男のペニスなのだ。
握って、擦った。
そして、デカすぎるそれを口にはいるだけいれて、唇で扱いた。
舐めて、音を立てて吸った。
熱くて硬くて。
俺の男のものだった。
だから欲しくてたまらなかった。
脈打つそれを舌で舐めて感じた、
その熱さと硬さをこの指で確かめるのは愛しかった。
俺を欲しがる男そのものだった、ここは。
夢中で愛した。
技術なんかわかんね。
男程場数踏んでるわけじゃないしな。
俺はこの男しか知らないのだ。
そういう意味では。
俺だって、嫉妬してる。
散々色んな女や男を抱き潰してきたんだろ、おまえは。
「出ちまう、口から出せ、そんな顔されて、そんな風にされたならオレもガマンがきかねぇ」
男があせったように言う。
男は俺にフェラとかさせたがらないのだ。
俺がしたがればさせるけど。
俺に飲ませるなんて、この男の中ではありえないのだ。
だからこそ飲みたかった。
吸い立てて手で扱いて、首を振って唇で、シゴいた。
男が俺にしてくれるみたいに。
低い声と。
喉にぶちまけられる熱さと。
酷い味と。
男が愛しげに俺の髪を無でる指と。
「愛してる」
不器用に男が言ったから。
俺はむせながらわらってしまった。
なんかお前のタイミングおかしい。
男は少し機嫌を損ね、でも、俺の気持ちは伝わったらしく、不安による不穏さはおさまってきた。
「不味いこんなもん、飲むのはお前のだから。わかるか?」
俺は言った。
男の炎のような目が俺を食い入るように見る。
この目が俺からそらされることはないだろう。
「俺がこうするのも、俺のケツに突っ込んでいいのも、お前だけ」
俺は男に言った。
その頭を抱いてやった。
その脳天にキスしてやった。
「愛してる。わかるな?」
言い聞かせた。
「我慢させてるのはわかってる。すまない」
俺は謝った。
世界に俺と二人だけでいたい男にはこの騒ぎは腹立たしいだけだろう本当のところは。
「オレだけじゃ足りないからか?」
男の言葉は直球だ。
「違う。俺はこの世界に借りがある。それを返さないといけないんだよ」
俺は男に言った。
男は首をかしげる。
わからないだろう。
当然だ。
この男のような人間はこの世界に貸しがある方なのだ。
「俺が俺でいるために必要なんだ。わかって欲しい」
俺はそう言った。
「わからなくてもわかるようにする。それがお前の希望なら」
そう答える、響く深いバリトンが、どれだけ俺を切なくするのかなんかは。
この男の方がわかっていないのだ。
「してくれ、もっと沢山。痕つけていい。沢山噛んでもいい」
俺は強請った。
切なかったから。
「良し」がでた犬のように、男は俺に叫ながらのしかかつた。
喰われる獲物のように俺はそれを受け入れた。
でも軽々と両脚をもちあげられ、ケツにかぶりつこうとする牙や舌を見た時、赤赤と燃え上がる目やタトゥーを見た時、
「あ、やっぱり無・・・」
無しとは言わせて貰えなかった。
そこからは、きたない声でわめき続けて、イキ続ける地獄のような天国しかなかった。
ともだちにシェアしよう!