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トラップ3
「試したい」
ユウタは言ってきた。
俺はその日は男の子達と通りにある建物の階段で、階段ジャンケンしていたところだった。
ジャンケンでグーチョキパーの何で勝ったかで、何段上がれるかが決まってて、1番最初に階段の1番上に行ったものが勝ちという、俺の地元で小学生がする遊びなのだが、これが結構面白い。
(みんなすると思ってたけど、知らない子が多くてビックリ、地域差あるんだね)
大体ガキの遊びというものは、本気でしたらもっと面白いモノなのだ。
俺も通りの男の子達も熱中して遊んでた。
人様の迷惑にはなるが、でも、酒や咳止め薬でラリって騒ぐよりはマシかと思う。
中学生や高校生に混じって遊んでんの、まあ、恥ずかしいんだけどね。
でも、楽しかった。
大学の友だちとか絶対こういうのしてくれない。
そこはやっばり、中高生はノリがいいよね。
キャッキャッしてる。
「グリコ!!」
グーで勝った男の子が3段上がって、階段の上にたどり着く。
勝利のガッツポーズだ。
嬉しそう。
グーだと3段「グリコ」と言いながら上がるのね。
パーだと「バイナップル」6段。
チョキだと「チョコレート」6段。
なんでだかそうなってる。
とにかく上にたどりついた。
「勝った!!!オレの勝ちだ!!」
男の子が大笑いしてる。
可愛いなぁ。
地元の小学生と遊んでやる時と変わんない。
ちょっと前までコイツ小学生だったんだもんなぁ。
「もう1回やろ、もう1回!!」
男の子達にせがまれる。
階段鬼ごっこは酒と不摂生で脚の弱ったこの子達には無理だったが、これは面白かったらしい。
女の子みたいに化粧して、チャラチャラアクセサリーつけて。
運動なんて、女の子達と遊びでセックスするか、若い男の子を買いにくる男達に身体を売るか、女のひとに身体を売るか、のセックス以外はしてないような男の子達だが、でも、やはり。
まだ子供だった。
俺と違って、童貞ではなくても。
処女はいるけどね。
男の子だから。
俺は非処女だけど。
女の子をはめることを考えていたり、咳止め薬で気持ち良くなることばかり考えていたとしても。
男の子達は子供だった。
なんなら恋を夢見てさえいる。
彼らなりに。
子供なのだ。
「よし、それならもう1回な!!」
俺がそう言った時だった。
「ちょっといいかな?」
階段の下にユウタが立っていた。
キレイに染められた金髪に、オレンジ色のハイライトをグラデーションに入っている。
柔らかい茶色の瞳がほほ笑んでいた。
優しい綺麗な姿なのに、ユウタが来ただけで子供達の空気が変わる。
生々しい、肉と欲望の匂いがし始める。
「ねぇ、いいかな?」
ユウタは俺に言ってた。
よし来た、そう思った。
ドクターの言う通りだった。
俺と内藤は週末にこの街の、この通りに通うようになった。
内藤は憮然としたまま女の子達に囲まれてるはずだ。
内藤が来るならここに現れる女の子達にだ。
もう、内藤が来ないなら来ないらしい。
良いことだ。
今は内藤の高校や家の場所を聞き出そうと必死だ。
内藤が来ると不思議なことにすぐに現れる。
ストーカー候補生だ。
もちろん、内藤は苗字以上は教えない。
何一つ。
なんでここに来てるのかと思われるくらいの不機嫌さだが、女の子達は気にしてない。
強いなぁ。
俺は明らかに浮いてるんだけど、それでも通う。
週末だけなのは、平日はバイトと学校があるからです。
生活あるからね?
週末は自転車で内藤とロングライドに行くか、男と挿入出来るセックスをするかのどちらかだったのに、こうなっているので、親友も恋人のどちらも機嫌が悪い。
男は挿れないだけで、色々しまくってるんですけどね。
声を殺すの大変なんですけど。
昨夜も咥えられながら、穴の中に指を同時に挿れられて・・・。
枕を噛んで俺は泣きまくったのだ。
いや、それはいいとして。
「向こうから言ってくる」
ドクターがそう言ってた。
それまで、待てと。
そして、その通り。
俺たちが通りに通いだして、数回で。
俺が子ども達に身体をつかった健全な遊びを幼稚園のように教えるようになって、数回で、だ。
(本気のかごめかごめもやった。かなり面白い。子供の遊びは本気ですると、物凄い面白いんだって)
ユウタの方から言ってきた。
「あの話、聞かせて欲しいんだよね、カウントCD?」
ユウタは乗ってきた。
「試したい」
そう言った。
「どんな感じなのかな?やってみたいな」
その言葉を。
待っていた。
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