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トラップ 14

そっと大切に置かれたのはベッドの上で。 俺の自転車も部屋の壁にたいせつに立てかけられてた。 ドクターの隠れ家の1つに連れ込まれていた。 前にきた高級マンションだ。 男は俺に覆い被さる。 体重がかからないように気をつかいながら。 首筋の匂いを嗅ぎ、そこを舐めはしてきても、勝手に始めたりははない。 だけど、息は熱くて荒くて。 男が擦りつけてくる下半身は硬くて凶器みたいになってる。 「待て」が自分には出来るんだと俺に示しているのだ。 「いいぞ。好きに喰え」 俺は喰ってもいいと言った。 喰われるのは俺だけど。 男がうなって、俺の首にかじりついた。 噛む。 甘い痛みが走った。 「あっ・・・」 噛まれるの気持ちよくて、声がでる。 噛まれながら、舐められる。 熱い舌がクビの筋を舐め上げるのが心地よい。 シャツがまくりあげられ、燃えてる手がオレの胸をまさぐる。 そして、もう方ほうの手は俺のハーフパンツを下着ごとずらしていた。 強く、でも傷つかない位に歯に力をいれられながら首すじを吸われた。 印を刻まれる快感だ。 「美味い・・・食っちまいてぇ」 深くひびく、本気の言葉が恐くて、愛しい。 胸を暖めるように撫でられ、乳首を指先でとらえられ、回される。 身体が反応してしまう。 俺のそこはもう性器なのだ。 尖って勃って、硬くなってしまうちんぽみたいに。 しかも下半身に直結してしまう。 尖ったそこの凝りを指先で確かめられた。 人差し指と親指で凝った乳首をヤワヤワと潰される。 気持ちいい。 男の背中に回した指先が、おもわず立ってしまう。 力が入ってしまって。 「ぐへっ」 変な声が出た。 男は俺の肩を噛みながら低く笑った。 男は俺の肉を噛んで舐めて、吸って。 俺を味わってた。 美味そうに。 幸せそうだった。 俺は胸を吸って欲しかった。 指でコリコリされるのも好きだけど。 胸を喰ってほしかった。 「ココ、吸って、噛んで、喰って」 俺は男が弄ってない方の乳首を自分でつまんで、強請った。 強請るしかない。 喰って欲しい。 喰われたい。 ココ、食って欲しい。 男が唸った。 耐えるような顔。 一瞬目が燃え上がり、身体の炎がさらに燃え上がった気がした。 「煽んな・・・マジで喰って・・・喰ったらお前がいなくてなる・・・」 うめき声と、耐える声と、愛しげな吐息。 全部を混ぜて。 男は俺の乳首を食いはじめた。 それは俺が大好きなことだった。 「あがっ・・・あふぅっ!!!」 俺はきたない声で喘ぐ。 噛まれんのいい。 コリコリを噛まらて唇で解されて、舐めとられて。 音を立てて吸われて。 乳輪も丹念に舐められて、また吸われる。 反対側をそこを指先で虐められてる、それがたまらなく良かった。 「ひいっ・・・あがっ・・・いっっ!!」 喘ぎまくる。 敏感になってるそこは、剥き出しの神経みたいになっていて、舌や指感覚をダイレクトに股間と脳に送ってくるのだ。 コリコリ噛まれた。 ビクンビクン身体が震えた。 ちんぽも同じようにビクンビクンしてるのがわかる。 「食べてぇ!!」 俺は強請る。 食われてしまいたい。 男の頭を胸に押し付けた。 熱い舌。 鋭い歯。 喰って欲しい。 男が唸った。 食いちぎられたら、もっといいと願ったら、痛く噛まれて、血が滲んだ。 その 熱さと痛みは、快感として脳を焼いた。 それに俺は射精した。 「いいっ!!くってぇ!!喰えよ!!」 俺は叫んだ。 ガクガク腰を振り、射精しながら。 たまんなかった。 男の背中に爪を立てて食い込ませていた。 「マジで喰うから、止めろ」 男が焦ったように、困ったように言った。 噛んだ乳首回りの血を必死で舐めとる。 傷つけたことを悔いるみたいに。 いや、俺もお前の背中を掻きむしったけどな。 やさしく舐めるそれにまた俺は痙攣した。 出した後の性器をねぶられているみたいだった。 どうせ、あとでされる。 そうするの好きだから、この男は。 「痛くしていい、今日はいい」 俺は男に囁いた。 男は困ったような顔をした。 途方にくれていた。 男は。 俺を満足させるためにセックスをしている。 俺を誰かに渡さないために、セックスをしている。 俺が男以外を欲しがらないように。 「お前の好きにしていいんだ」 俺は言った。 それは凄く怖いことでもあった。 本気で男が俺を食い尽くす可能性もあったからだ。 誰にも渡したくないなら、そういう方法もある。 「俺だって。お前を喜ばせてやりたいんだよ」 俺は言った。 愛しいのだと、教えてやりたかった。 今じゃないが、本当に男が俺を喰わずにいられなくなったら喰わせてやってもいい。 腕ぐらいなら。 本気でそう思っていた。 飼われたいなんて、思わせたくないんだ。 犬だって、俺は飼ってたわけじゃないんだ。 それに俺は。 お前を愛しているんだ。 そうなった。 そうなんだから。 男の顔が歪んだ。 泣くのか思った。 だけど男は泣かないで、俺に強請った。 「キスしてくれ」 あまりの可愛さに泣きそうになった。 男は俺からされるキスが好きなのは知ってた。 そんなにも、か。 それだけで愛しさが込み上げた。 男の首に腕を回し、炎に似たオレンジ色の瞳を見ながら、俺は男の唇を貪った。 可愛い可愛い、俺の男を、俺は食った。 舌を入れて、絡めて、唾液を飲んで。 男が可愛くてしかたなかった。 男は。 見えない尻尾を振っているのが良く分かったし、キスの後、可愛いとしか言えない笑顔をみせた。 誰も知らない。 コイツがこんな風に笑うなんて。 そこで俺の股間も穴も疼いた。 そこは俺も男ですから、エロいの大好きですから、男が欲しくてたまらなくなってた。 「好きだぞ。だからもっとして?」 強請ったから。 男は吼えて俺を貪りはじめた。 そこからは。 全く可愛くはなかった。 ちょっと後悔したくらいだった。

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